精米時に胚盤が残りやすい良食味水稲新品種「きんのめぐみ」

タイトル 精米時に胚盤が残りやすい良食味水稲新品種「きんのめぐみ」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 1998~2010
研究担当者 梶 亮太
太田久稔
中込弘二
福嶌陽
山口誠之
片岡知守
遠藤貴司
滝田 正
横上晴郁
加藤 浩
市場茂雄
辻内啓次郎
発行年度 2010
要約 「きんのめぐみ」は、東北地域中部では“中生の中”に属する粳種である。食味は「あきたこまち」並の良食味で、精米時に胚盤が残りやすい特性を持つ。耐倒伏性は強く、いもち病圃場抵抗性、障害型耐冷性、白葉枯病圃場抵抗性はいずれも“強”である。
キーワード イネ、精米、胚盤残存率、良食味、中生
背景・ねらい 我が国の米の需要拡大を図るために、実需者によって様々な消費者ニーズに応える商品が加工販売されている。その中で、胚盤を残す精米を行うことによって、通常の白米よりもビタミンB1等を多く含む商品が開発され、精米時に胚盤の残りやすい良食味品種が求められている。そこで、栽培特性が優れ精米時に胚盤の残りやすい東北地域向きの良食味品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「きんのめぐみ」は、いもち病圃場抵抗性・耐冷性が強く良食味の「おきにいり」を母とし、いもち病圃場抵抗性・白葉病圃場抵抗性が強い「あそみのり」を父とする雑種第一代を母に、「おきにいり」を父として戻し交配した組合せから育成された系統である。
  2. 育成地における出穂期、成熟期は「ひとめぼれ」よりやや早く、「あきたこまち」よりやや遅い“中生の中”熟期に属する(表1)。
  3. 稈長は「ひとめぼれ」と同程度で「あきたこまち」よりやや長く、穂長は「ひとめぼれ」と同程度で「あきたこまち」より長く、穂数は「ひとめぼれ」「あきたこまち」より少ない。草型は“穂重型”である(表1)。
  4. 精玄米重は「ひとめぼれ」と同程度で「あきたこまち」よりやや多収である(表1)。
  5. 耐倒伏性は“強”で、「ひとめぼれ」「あきたこまち」より明らかに強い(表1)。
  6. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“PiaPii"と推定され、いもち病圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちともに“強”である。白葉枯病抵抗性遺伝子“Xa1”を持つと推定され、白葉枯病圃場抵抗性は“強”である。縞葉枯病抵抗性は“罹病性”である(表1)。
  7. 障害型耐冷性は“強”である(表1)。
  8. 玄米千粒重は「ひとめぼれ」より2g程度重い。外観品質は「ひとめぼれ」「あきたこまち」よりやや劣る。食味は「ひとめぼれ」「あきたこまち」並の良食味である(表1)。
  9. 精米試験における胚盤残存率が「ひとめぼれ」「あきたこまち」よりも高い(図1、写真1)。
成果の活用面・留意点
  1. トーヨーライス株式会社との共同育成品種であり、胚盤を残存させた米への利用が期待できる。当面の普及見込み面積は秋田県美郷町を中心に50haである。
  2. 高温登熟条件下では白未熟粒が多発するおそれがあるため、栽培適地は東北地域中南部、温暖地中山間部である。
  3. 胚盤残存率は刈り遅れによって著しく低下するため、精米時に胚盤を残すためには、適期刈りを徹底する。
図表1 234708-1.png
図表2 234708-2.png
図表3 234708-3.png
カテゴリ いもち病 加工 縞葉枯病 需要拡大 新品種 水稲 中山間地域 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 良食味

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