タイトル |
早生で餅質の良い水稲糯品種「ミコトモチ」 |
担当機関 |
島根農技セ |
研究期間 |
1987~2007 |
研究担当者 |
田中 亙
播磨邦夫
月森 弘
安達康弘
杉山万里
高橋眞二
吾郷宏光
富田節雄
加納正浩
山本 朗
松崎友史
福田 誠
藤原耕治
安原宏宣
陶山研治
神田正治
重栖睦弘
広沢敬之
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発行年度 |
2008 |
要約 |
島根県の早生糯品種として「ミコトモチ」を育成した。「ミコトモチ」は本県の奨励品種である「ヤシロモチ」に比べて、成熟期が5日程度早く、耐倒伏性及び穂発芽性に優り、玄米千粒重が重く、白米及び餅の白度が高い。
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キーワード |
イネ、ミコトモチ、糯品種、早生の晩、耐倒伏性、白度
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背景・ねらい |
島根県の水稲糯奨励品種の一つである「ヤシロモチ」は、中生で餅のキメが細かく餅の伸びが良い特徴がある一方、耐倒伏性が劣り、穂発芽しやすく、玄米外観品質及び餅の白度が低いという欠点があった。そこで、「ヤシロモチ」並みの餅質を持ち、倒伏しにくく、穂発芽しにくく、玄米外観品質及び餅の白度が高い品種の育成を目的とした。
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成果の内容・特徴 |
- 1.育成経過
「ミコトモチ」は、「山陰糯83号」と「中部糯57号」(後の「ココノエモチ」)を1987年に交配し、その交配後代系統から選抜された。耐倒伏性、穂発芽性及び玄米外観品質が優れ、白米及び餅の白度が高かったので、2008年2月に奨励品種に採用され「ミコトモチ」と命名し、2008年3月に品種登録を出願した。世代はF16である。 - 2.品種特性
「ヤシロモチ」と比較した特性は以下のとおりである(表1・表2・表3)。 1)出穂期が2日程度、成熟期が5日程度早い‘早生の晩’である。 2)稈長はやや短く、稈はやや太く、稈質もやや強く、耐倒伏性は‘中’で「ヤシロモチ」の‘弱’を上回る。穂数はやや多いが、草型は「ヤシロモチ」と同じ中間型である。 3)いもち病真性抵抗性推定遺伝子型は「ヤシロモチ」の‘Pita’に対して‘+’であるが、葉いもちほ場抵抗性は‘やや弱’、穂いもちほ場抵抗性は‘中’で「ヤシロモチ」と同等である。 4)穂発芽性は「ヤシロモチ」に優る‘中’である。 5)玄米収量は「ヤシロモチ」とほぼ同等である。 6)玄米千粒重は「ヤシロモチ」より重く、粒大は‘大’であり、玄米外観品質はやや優る。 7)白米の白度及び餅の白度はやや高い。 8)餅の食味は、味及び総合評価が「ヤシロモチ」にやや優る。 9)製餅後の硬化の速さは「ヤシロモチ」よりやや早い。
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成果の活用面・留意点 |
- 本品種は県下平坦部から標高300m以下の中山間部に適する。
- 耐倒伏性が中程度と「ヤシロモチ」に優るが、葉いもちほ場抵抗性が‘やや弱’のため、多肥栽培は避け、いもち病の基幹防除を徹底する必要がある。
- 穂発芽性が中程度と「ヤシロモチ」に優るが、適期収穫に努める。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
水稲
中山間地域
抵抗性
品種
防除
良食味
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