タイトル | 19.小麦のエンドプロテアーゼ活性とパンの比容積 |
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担当機関 | 北海道農業試験場 |
研究期間 | 1998~1998 |
研究担当者 |
桑原達雄 入来規雄 高田兼則 一ノ瀬靖則 船附稚子 山内宏昭 |
発行年度 | 1999 |
要約 | 雨害を受けたパン用小麦のパンの比容積低下は エンドプロテアーゼによって子実中のグルテンの部分分解が起こり生地が軟化するためである。その際、アミログラフ最高粘度(以下アミロ値)が200BU程度までの低下であれば国産強力小麦粉のパン比容積も大きく低下しない。 |
背景・ねらい | 多湿条件下で栽培される我が国の小麦は、穂発芽による品質低下が製粉、加工に大きな影響をもたらす。その結果、実需者との合意に基づく麺用小麦の高品質生産が進められている。一方、国産小麦の製パン利用の要望も高いが、パン用と麺用では求められる特性が異なるにも関わらず、その適性評価は十分ではない。そこで、製パン生地の物性が異なる品種を雨害処理し、エンドプロテアーゼと比容積の関係を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1.雨害処理条件および品種を異にしたパン用小麦粉からのパン比容積は、60%粉のエンドプロテアーゼ活性との相関がないが、全粒粉のエンドプロテアーゼ活性と負の相関が高い(図1)。 2.エンドプロテアーゼ活性と生地の破断力との間には高い負の相関(図2)が、破断力と比容積との間には高い正の相関があり(図3)、雨害処理による比容積の低下の主因は、子実の吸湿に伴うエンドプロテアーゼの活性化がグルテンを部分分解して生地物性を軟化させることにある。 3.麺用小麦の基準であるアミロ値とパン比容積との関係には明確な相関関係が見られず、品種間差が大きく、アミロ値200BU程度までの低下であれば標準的な製パン比容積値(5~6)以上の膨らみを維持できる(図4)。 4.雨害を想定されるパン用小麦でも、全粒粉エンドプロテアーゼ活性と生地破断力が、それぞれ約3.5(△OD590/g・hr)以下、約2.0(N)以上であれば、一定比容積以上のパンが得られる(図1、3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.パン用国産小麦の品質評価法の基礎情報として活用できる。 2.本情報のデータを得るために用いた小麦は、北海道農試の雨害耐性選抜圃場の処理系統である。 3.本情報の製パン性に関するデータは、処理間差及び品種間差が大きく現れるようにするために標準的食パン配合のノータイム法で、イースト添加量を5%に増し最終発酵を40分に短縮した条件で得た。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 加工 小麦 評価法 品種 |