| タイトル | リグニンの高度利用が可能な同時糖化湿式粉砕法を開発 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
大塚 祐一郎 中村 雅哉 大原 誠資 |
| 発行年度 | 2010 |
| 要約 | 木材の主要成分であるリグニンを利用するために、木材中のリグニンをほとんど変性させないまま取り出す「同時糖化湿式粉砕法」という技術を新たに開発しました。 |
| 背景・ねらい | リグニンは木材の20~30%を占める主成分であるにもかかわらず、その有効な利用方法はこれまでほとんど確立されてきませんでした。その理由として、木材からリグニンを取り出す際にリグニンが著しい変性を受け、元々複雑だった構造がより一層複雑になり、利用が困難になっていることが挙げられます。そこで本研究では、新たに同時糖化湿式粉砕法という技術を開発し、木材中のリグニンをほとんど変性させないまま取り出すことを目的としました。 |
| 成果の内容・特徴 | リグニンとは木材は主にセルロース(約50%)、ヘミセルロース(約20%)、リグニン(約20~30%)の3成分で構成されています。このうちセルロースやヘミセルロースは紙やパルプの原料、甘味料等の食品添加物など高度に利用されているだけでなく、近年ではセルロースからバイオエタノールの発酵生産など燃料への利用も盛んに研究されています。一方リグニンは、現状ではその構造の複雑さから取り扱いが難しく、有効な利用方法が確立していない木の主成分です。同時糖化湿式粉砕法の開発リグニンを利用する為には、まず木材からリグニンを取り出す必要があります。これまでに開発されてきた方法は木材に酸やアルカリを加え、高温で処理する方法です。この方法では木材中のリグニンは縮合という反応によって、より複雑で分解しにくい物質に変性してしまうという問題点がありました。そこで本研究では、同時糖化湿式粉砕法という新たなリグニンを取り出す方法を開発しました。この方法ではセルラーゼ、ヘミセルラーゼといった木材中のセルロース、ヘミセルロースを分解する酵素とビーズミルという粉砕機を使います。木材中でセルロース、ヘミセルロース、リグニンは互いに強固に結合しているため、セルラーゼ、ヘミセルラーゼを効率よく働かせる為には木材を細かく砕いて微粉末にすることが必要です。それは、微粉末化することによりセルロース、ヘミセルロースがむき出しになり酵素が作用できるようになるからです。しかし、むき出しになったセルロース、ヘミセルロースは繊維なので互いに絡み合うため、これまでは約半分のセルロース、ヘミセルロースしか分解することが出来ませんでした。そこで、木材の粉砕と同時に酵素処理を行うことによりセルロース、ヘミセルロースが絡み合う前に分解することを可能にし、効率を上げることを考えました。酵素処理と粉砕を同時に行うためには酵素が働く水の中で粉砕できることと、酵素が壊れるような高温(60℃以上)や強い衝撃が無いという条件が必要です。これらの条件を満たす粉砕機として、アシザワ・ファインテック社製のLMEというビーズミル粉砕機を選定しました。このビーズミルに木材、水、セルラーゼ、ヘミセルラーゼを投入し、粉砕しながら酵素処理を行ったところ、セルロース、ヘミセルロースが絡み合うことなく高効率に分解され、最終的に90%以上のセルロース、ヘミセルロースが分解除去されて粉末としてリグニンが残ることが分かりました。これが今回開発した同時糖化湿式粉砕法です(図1参照)。同時糖化湿式粉砕法で得られたリグニンの性状同時糖化湿式粉砕法によって得られるリグニンを酸化分解すると、従来の酸やアルカリを使って得たリグニンと比べて2倍以上の低分子酸化分解物が得られ(図2参照)、縮合という反応がほとんど起こっていない未変性のリグニンであることが明らかとなりました。今回開発した同時糖化湿式粉砕法を使えばこれまで得ることが難しかった未変性のリグニンを効率よく得ることが出来る為、グリーンプラスチックへの変換など新しいリグニンの高度利用に繋がると考えられます。本研究は、一般研究費「樹木抽出成分の機能、作用機構及び機能性素材への変換法の解明」による成果です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| カテゴリ | 機能性 |
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