計画的な点変異導入による植物の代謝改変

タイトル 計画的な点変異導入による植物の代謝改変
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2006~2011
研究担当者 雑賀啓明
及川彰
松田史生
小野寺治子
斉藤和季
土岐精一
発行年度 2011
要約 ジーンターゲッティング法により、トリプトファン生合成の鍵酵素となる遺伝子に、酵素機能を向上させる点変異を狙いを定めて導入した。変異イネの種子には、遊離トリプトファンが原品種の230倍蓄積しており、計画的な点変異導入により植物の代謝改変が可能なことが初めて示された。
キーワード 代謝改変、ジーンターゲッティング、変異導入、トリプトファン、イネ
背景・ねらい 代謝酵素のタンパク質工学研究から、代謝産物による酵素活性阻害(フィードバック阻害)を軽減する点変異や酵素活性を向上させる点変異が明らかにされてきている。その知見を利用することで、酵素機能を改良した変異型酵素をデザインすることが可能になってきた。しかし、デザインした酵素を発現する突然変異植物を計画的に作出することは、これまでできなかった。本研究では、染色体上の代謝酵素遺伝子に対して、目的の点変異を計画的に導入することで、代謝改変植物を作出できることを実証したいと考えた。そこで、トリプトファン生合成における鍵酵素OASA2について、ジーンターゲッティング法によって目的の変異を導入し、トリプトファン高蓄積イネを作出することが可能か検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. トリプトファン合成の鍵酵素の改良型OASA2遺伝子を含むベクター(図1)をイネ品種日本晴に導入した。トリプトファン類縁体を用いてジーンターゲッティングが生じた細胞を選抜し、OASA2遺伝子にフィードバック阻害を軽減する点変異と酵素活性を向上させる点変異が同時に導入された植物体を作出することに成功した。
  2. 変異イネの種子では、原品種と比較して230倍もの遊離トリプトファンが蓄積していた(図2)。さらに、トリプトファン以外の遊離アミノ酸も2~10倍程度多く蓄積しており、アミノ酸代謝全体が大きく変化していることが示唆された(図3)。
  3. 一方、変異イネの幼苗では、原品種と比較して7倍の遊離トリプトファンが蓄積していた(図2)。変異イネの幼苗と種子において、原品種に対するトリプトファン含量の増加率が異なっていたのは、茎葉部で合成された遊離トリプトファンが転流し、種子で濃縮された為だと考えられ、特定の代謝産物を種子に高蓄積させる方法として転流の活用が有効であることを示唆している。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で作出した変異イネは、高栄養イネ品種を作出するための育種母本として活用できると期待される。
  2. アミノ酸合成に関わる代謝酵素は様々な生物に共通して存在しており、酵素をデザインするために必要な基礎的知見が多く蓄積している。よって、トリプトファン以外のアミノ酸についても、代謝酵素をデザインし、本研究で行った手法と同様に、アミノ酸類縁体を用いてジーンターゲッティングが生じた細胞を選抜することで、アミノ酸高蓄積作物を作出できる。
  3. 比較ゲノムやタンパク質工学などの有益な情報を基に、作物ゲノム上の標的遺伝子を計画通りに改変する技術は、遺伝子の機能解析や作物の分子育種などに有効活用できる。
図表1 235252-1.jpg
図表2 235252-2.jpg
図表3 235252-3.jpg
図表4 235252-4.jpg
研究内容 http://www.nias.affrc.go.jp/seika/nias/h23/nias02303.htm
カテゴリ 育種 品種

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