高接ぎ木法を核としたトマト青枯病総合防除技術

タイトル 高接ぎ木法を核としたトマト青枯病総合防除技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2009~2011
研究担当者 中保一浩
鍛治原寛
前田征之
野津あゆみ
瓦 朋子
井上康宏
石原岳明
川部眞登
大木健広
発行年度 2011
要約 高接ぎ木法は、第2、3葉上で接いだ苗を利用したトマト青枯病防除技術で、子葉上の慣行接ぎ木よりも高い発病抑制効果がある。糖蜜等による土壌還元消毒との組み合わせで防除効果が持続できる。また、慣行と収量、品質等も同等であり栽培上の問題はない。
キーワード 高接ぎ木、トマト、青枯病、土壌還元消毒、収量・品質
背景・ねらい トマト栽培の産地化に伴う連作により土壌伝染性の難防除病害である青枯病が発生し大きな問題となっている。さらに温暖化による本病被害の拡大も懸念される。本病の防除法として抵抗性台木品種を用いた接ぎ木栽培が広く普及している。しかし従来の慣行接ぎ木を用いても青枯病の被害を回避できないことが多く、より防除効果の高い技術の開発が求められている。そこで、接ぎ木の抵抗性を強化した持続的な青枯病総合防除技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 高接ぎ木法は、慣行接ぎ木(接ぎ木部位:子葉上)より高い位置(同:第2、3葉上)に接いだ苗を利用した防除技術である。高接ぎ木栽培を行うことで台木品種の持つ“植物体内での青枯病菌の移行と増殖の抑制能”を最大限に活用し、穂木への青枯病菌の感染、発病を抑制する(図1)。
  2. 高接ぎ木法は、高い接ぎ木部位ほど顕著な発病抑制効果が認められる(データ略)。「トマト土壌病害防除のための新規接ぎ木導入マニュアル」を参考に、青枯病汚染程度、作型、地域条件等に応じた高接ぎ木法を選択する。
  3. 高接ぎ木法は、夏秋、促成及び抑制作型で慣行接ぎ木よりも高い青枯病防除効果が認められる(図2、データ略)。
  4. 図3に示すとおり、高度汚染圃場では深層まで消毒できる廃糖蜜を利用した土壌還元消毒と組み合わせることで高い防除効果を持続できる。また、米ぬかを用いた土壌深耕還元消毒の組み合わせでも同様の効果が期待できる(データ略)。
  5. 高接ぎ木栽培による生育、収量及び品質等は、作型や栽培地域にかかわらず慣行接ぎ木と同等であり、栽培管理上の問題点はない(表1)。
  6. 民間企業による高接ぎ木苗の生産供給体制が確立されており、全国の生産者が苗を購入することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:トマト生産者、公立研究機関及び普及センター
  2. 普及予定地域・普及台数等:全国、1,400ha、青枯病が問題となるトマト栽培施設の5割を目指す。
  3. 高接ぎ木苗は、2011年度、苗生産企業から全国に約1万8千本が供給された。
  4. 夏秋作型、10a当たり2,500株、高接ぎ木苗の苗代は慣行の1.2倍、8月中旬から発病が増加し最終的に慣行で37%、高接ぎ木で7%の株が発生、想定される収量に基づいて2009年札幌市場単価でコスト試算した場合、苗代増加分を考慮しても16万円程度の増収になった。
  5. 糖蜜及び米ぬか深耕還元消毒処理のコストは10a当たりで各10万、8万円程度である。
図表1 235551-1.gif
図表2 235551-2.jpg
図表3 235551-3.gif
図表4 235551-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2011/152a0_01_21.html
カテゴリ 病害虫 青枯れ病 コスト 栽培技術 総合防除技術 台木 高接ぎ 接ぎ木 抵抗性 トマト 品種 防除

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