タイトル |
プラウ耕・鎮圧体系乾田直播での圃場鎮圧による漏水防止手法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2007~2011 |
研究担当者 |
冠 秀昭
大谷隆二
関矢博幸
中山壮一
齋藤秀文
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発行年度 |
2011 |
要約 |
黒ボク土乾田直播圃場で適正な減水深を得るためには、高水分条件で鎮圧することが必要である。段階的な鎮圧により、排水機能から湛水機能へと乾田直播に必要な圃場機能を順次付与することができる。
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キーワード |
乾田直播、漏水、減水深、鎮圧、土壌水分、黒ボク土
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背景・ねらい |
乾田直播は、播種および出芽までは排水良好な乾田、入水以後は湛水できる水田を必要とする高度な水稲栽培技術である。特に、圃場の漏水防止は、水稲の生育や除草剤効果の発現に大きく影響を与えることから、乾田直播成功の鍵である。そこで、乾田直播において確実に漏水を防ぎ、かつ乾田から湛水可能な水田へ切り替える効果的な鎮圧手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 浸透強度(縦浸透)を低下させるには土壌含水比が高い条件で鎮圧する必要がある。黒ボク土壌では、土壌硬度が25mm以上に十分鎮圧しても、塑性限界(66%)以下の低水分条件では、浸透強度は低下しない。適正な減水深を得るためには、作業が可能な限り高い水分条件で鎮圧することが好ましく、地表下5cmの土壌硬度が山中式土壌硬度計で20mm程度になるまで鎮圧する必要がある(図1、2)。
- 圃場面の鎮圧により、地表下5cmの土壌保水性が向上する(図3)。よって、プラウ等による耕起後の膨軟な土壌は乾きやすいことから、一度鎮圧することにより、乾燥を防ぐことができ、後に高含水比条件で鎮圧可能となる。また、鎮圧された土壌は、間隙が減少し緻密化していることから、不耕起状態のようになり降雨後に作業しやすくなる。
- 乾田直播の圃場には、播種作業のための排水機能、出芽までの水分保持と排水機能、出芽後の湛水機能といった機能が要求されるが、3段階で鎮圧することにより、減水深を約100mm/dから適正な減水深である20mm/dと徐々に低下させることができ、乾直に必要な圃場機能を付与することが可能である(図4)。
- 圃場の四隅や畦畔際などは主たる漏水箇所となるため、それら圃場外周を十分に鎮圧する必要がある(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 縦浸透量が多い漏水田において活用できる。
- プラウ耕・鎮圧体系乾田直播については、2007度研究成果情報「グレーンドリルを汎用利用した水稲乾田直播の寒冷地向け播種体系」技術普及として取り上げられている。(http://tohoku.naro.affrc.go.jp/seika/jyouhou/H19/to07002.html)
- 多湿黒ボク土(土性SiL)における試験結果である。砂質土、粘性土では、浸透強度が最も低下する水分域は本事例と異なる。
- 本手法では、地表面が薄く砕土され、砕土土壌以下が締固まるハローパッカー(突起付きの鎮圧ローラ)の利用を想定している。様々な鎮圧ローラが利用できるが、最終的にグレーンドリル播種時の覆土を確保する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2011/111b1_10_01.html
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
乾田直播
栽培技術
除草剤
水田
播種
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