牛脂肪中のラクトン類の定量と貯蔵中の変動要因

タイトル 牛脂肪中のラクトン類の定量と貯蔵中の変動要因
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2010~2011
研究担当者 渡邊 彰
今成麻衣
米内美晴
柴 伸弥
発行年度 2011
要約 牛脂肪中の香り成分であるγ-オクタラクトンやγ-ノナラクトンのほとんどは貯蔵中の脂質過酸化によって増加するのに対して、δ-テトラデカラクトンは貯蔵初期段階で数百ppbが存在している。また、多くのラクトン類の揮発性は貯蔵中に高まる。
キーワード 牛肉、香り、ラクトン、ビタミンE、ヘッドスペース
背景・ねらい ラクトン類は牛肉の香り成分として重要であることが知られている。これまでその挙動についていくつかの報告があるが、すべて加熱によって揮発してくる部分を採取して測定するヘッドスペース分析であり、サンプル中の含量を測定したものではない。そこで、黒毛和種の牛肉脂肪から検出されたγ-オクタラクトン(γC8)、γ-ノナラクトン(γC9)、δ-デカラクトン(δC10)、δ-ドデカラクトン(δC12)およびδ-テトラデカラクトン(δC14)について、標準添加法をもちいてヘッドスペース中の強度変化から脂肪中の濃度を測定し、ラクトン生成に及ぼす要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. γC8を除くすべてのラクトンにおいて、標準物質添加によるヘッドスペース中の強度変化から得られる回帰直線の傾斜は貯蔵により有意に急になる。これは貯蔵によりラクトンの揮発性が高まることを意味する(表1)。
  2. 抽出脂肪中のγC8およびγC9は貯蔵開始時に10ppb以下であるが、酸素存在下での貯蔵により急激に増加する。この増加の程度はビタミンEにより抑制される(図1)。
  3. δC10、δC12およびδC14は貯蔵開始時で既に20から230ppb程度が存在しており貯蔵による増加割合は上記のラクトン類ほど顕著ではなく、ビタミンEの影響を有意に確認することはできない。このようにδC10、12、14とγC8、C9では生成経路が同じではない部分がある。
成果の活用面・留意点
  1. ラクトン類の測定方法は研究成果情報「牛肉中の甘い香りを含む揮発性物質を迅速・簡便に測定する方法(2008年度)」および「牛肉中の高濃度ビタミンEは一部のラクトンの生成を抑制する(2010年度)」を参照。
  2. 本情報では物質の揮発性の変動を示すため塩析剤の添加を行っていないが、サンプル中の濃度測定が主目的であれば、精度を改善するために高分子ラクトンの気相への移行を促進するような塩析剤の添加を検討する必要がある。
図表1 235794-1.png
図表2 235794-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2011/120d2_10_14.html
カテゴリ 香り成分

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