乳酸菌ラクトコッカスラクチスH61の摂取による肌の改善効果

タイトル 乳酸菌ラクトコッカスラクチスH61の摂取による肌の改善効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2010~2012
研究担当者 木元広実
青木玲二
佐々木啓介
鈴木チセ
水町功子
発行年度 2012
要約 コッカスラクチスH61の加熱処理菌体を20~60代の女性に4週間及び8週間摂取させた際、50~60代において冬場の乾燥に伴う肌の水分量の減少が抑制される。若い年代を含めた年代で「H61株の摂取により毛穴の目立ちが改善」との評価が得られる。
キーワード 乳酸菌、ヒト試験、肌、水分量
背景・ねらい 既に、老化促進モデルマウスを用いて乳酸菌ラクトコッカスラクチスH61が皮膚の潰瘍発生の抑制効果や脱毛の抑制効果等、皮膚の老化抑制効果を有することを見出しており、また、H61株の生菌、加熱処理菌、発酵乳のいずれの形態でも同様の効果を持つことを確認している。本研究では、H61株のヒトにおける効果を検証する目的で、H61株の摂取がヒトの肌の状態へ及ぼす影響を調査する。これまで20~39歳の女性に生菌を含んだヨーグルトを摂取させた場合、頬の弾力や乾燥の程度が改善されるという報告があるが、乳酸菌体のみ(死菌体)を用いた場合の、年代別のヒトの肌状態への影響については報告がない。本研究ではH61株の死菌体を被験物質とし、H61株摂取における年齢の効果を調べるために年代別に解析を行う。
成果の内容・特徴
  1. 畜産草地研究所内女性ボランティア(39人)にH61株加熱処理菌体(60mg:400億個程度)を含む馬鈴薯デンプンまたは馬鈴薯デンプンのみ(プラセボ)を春期に4週間摂取させた(無作為単盲検試験)。水分計により頬の水分量を調べた結果、20~30代及び40代ではH61株摂取による顕著な効果は見られないのに対し、50~60代ではH61株摂取群で有意に増加する(図1)。
  2. 所内女性ボランティア(30人)に上記の被験物質を秋~冬期に8週間摂取させた際(無作為二重盲検試験)、30代及び40代では菌体投与の有無にかかわらず前腕水分量の季節的な減少が見られるのに対して、50~60代ではH61株摂取群では摂取8週間後において水分量が有意に維持される(図2)。さらに肌の状態に関するアンケート調査では30代、40代、50~60代においてプラセボ群(0%)に比べてH61株摂取群(26.7%)の方が「毛穴の目立ちが改善された」と回答した人が有意に多い。
  3. 加熱処理菌体の効果が確認されたことから、生菌を含む発酵食品以外にも様々な加工製品(サプリメント、菓子、ペットフード等)にH61株の利用が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:食品産業関係者、消費者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他:H61株を利用した製品は商品化されているが、茨城県内企業の販売に留まっている。H61株の全国的な普及のためにはヒトでの効果及びその有用性をアピールする必要がある。本成果よりH61株の皮膚における効果が特に50~60代ヒトにおいて確認され、H61株は高齢社会へ向けた食材として普及できることが示された。先行する乳酸菌の肌状態改善サプリメントの市場規模は10億円とされ多くの需要が期待できる。H61株に係る特許は機構単独の特許であり多数の民間企業で利用できることから、現在、5社の企業と特許実施許諾オプション契約を締結中である。H61株による肌の改善効果と被験者の便通に相互作用はなく、また、「毛穴の目立ち」には肌のキメ、ハリが関与するものとされているが、メカニズムについては今後の検討課題である。
図表1 236051-1.png
図表2 236051-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2012/310c0_01_55.html
カテゴリ 加工 乾燥

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