米粉のパン加工適性評価のための吸水性簡易評価法

タイトル 米粉のパン加工適性評価のための吸水性簡易評価法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2009~2012
研究担当者 松木順子
奥西智哉
岡留博司
発行年度 2012
要約 米粉の吸水性は、穴のあいたアルミ容器と水を張ったバットを用いて簡単に評価することができる。米粉は吸水率と吸水時間により分類され、粉砕方法により特徴がある。吸水量が少なく、吸水の速い米粉を用いたパンの比容積が高い。
キーワード 米粉、吸水性、米粉パン
背景・ねらい 米粉の吸水性は、その製パン適性に影響を及ぼしていると考えられる。米粉の吸水量を評価する方法はこれまでもあったが、吸水速度を含めて総合的に評価する手法がない。米粉のパン加工適性には、米粉の粒度分布、損傷澱粉含量、アミロース含量が大きく関与していると言われており、これらは吸水性に影響を及ぼす要因であると考えられる。本研究では、簡易に吸水性を評価できる方法を開発し、各種米粉について吸水性を評価する。また、物理化学的特性との関連を解析し、米粉パンに適した米粉の品質特性を明らかにすることを目標とする。
成果の内容・特徴
  1. 底に1cm間隔で1~2mmの穴を開けたアルミ製容器(例えばラピッドビスコアナライザーのカップ)を用いる方法で、吸水性を評価することができる(図1)。この方法は、水を張ったバットに粉を入れた容器を浸し、初期は1~2分間隔、その後は5~10分毎に水から容器を引き上げ、重量を測定するもので、特殊な装置を必要としない。
  2. 時間経過に伴う吸水率の変化は、tを測定時間、Yを全吸水率として、
    Y=A×(1-e(-K×t))+B (式1)
    を当てはめることができる(図2)。このとき、Aは吸水率、Kは吸水速度係数、Bは初期吸水率を表す。1.の試験によって得られた吸水量から乾物重に対する全吸水率Yを計算して、tとYを軸にしたグラフにプロットし、GraphPad Prism等の統計解析ソフトを用いて式1に当てはめ、A、K、Bを算出する。Aの半分の吸水にかかる時間である半吸水時間H=ln(2)/Kは、吸水速度の目安となる。
  3. 各種米粉は、吸水率Aと半吸水時間Hに基づいて分類ができる。吸水性は概ね粉砕方法により特徴があり、品種に依らない。小麦粉/米粉=70/30の粉を用いて、加水率を一定にして製パンした米粉パンの比容積との相関を解析すると、吸水率Aが小さく(=吸水量が少なく)、半吸水時間Hが短い(=吸水が速い)米粉の比容積が高い(図3)。このような米粉は、湿式気流粉砕によって得られる。
  4. 物理化学的特性との関連では、損傷澱粉含量と吸水率Aには正の相関が認められる。アミロース含量はいずれとも相関は認められない。また、半吸水時間Hは粒度分布との関連が認められる。
  5. アニーリングおよび湿熱処理により澱粉の結晶化度を調製した米粉では、示差走査熱量測定による糊化エンタルピーと吸水率Aとの間に高い相関が認められ(図4)、澱粉の結晶性が吸水特性の決定要因であることが示唆される。
成果の活用面・留意点 同じ湿式気流粉砕でも、製粉事業者によって性質の異なる米粉ができることがあり、粉砕方法だけでは特性を規定することはできない。
図表1 236151-1.png
図表2 236151-2.png
図表3 236151-3.png
図表4 236151-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2012/330b_01_05.html
カテゴリ 加工適性 小麦 評価法 品種

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