イネ葉枯症に関連するバイオマーカーのメタボロミクスによる探索法

タイトル イネ葉枯症に関連するバイオマーカーのメタボロミクスによる探索法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2009~2010
研究担当者 岡崎圭毅
岡 紀邦
澤田寛子
藤山正史
渡邊太治
信濃卓郎
藤原伸介
発行年度 2012
要約 メタボロミクスによるバイオマーカー探索により、イネ葉枯症の発症要因に関連する代謝成分が明らかになる。セロトニン、ソルビトールおよびトレハロースは本障害を特徴付ける重要な代謝成分である。
キーワード イネ葉枯症、セロトニン、ソルビトール、長崎県、ストレス、メタボロミクス
背景・ねらい 長崎県北部中山間の特定地域では、イネ上位葉の葉縁部や先端が枯死する現象が1960年代から観察されてきた。葉枯症の要因として水ストレスが疑われているが、それを裏付ける物質的証拠が必要である。本研究では、現地の葉枯症発生地域および非発生地域において生育時期別に採取したイネ葉を供試し、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた代謝成分の一斉分析と多変量解析(メタボロミクス)によって、障害をもたらすストレスに関連したバイオマーカー(代謝成分)を効率的に探索する。
成果の内容・特徴
  1. 現地において採取した発症株および健全株の葉身を凍結乾燥した試料を用いて、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)により、糖・有機酸・アミノ酸などからなる低分子水溶成分の一斉分析を行う。得られたピークをPLS回帰分析によりACC(エチレン前駆体、一般的なストレス指標)を目的変数として、検出された全358ピークから10ピーク程度まで絞り込みを行い、さらに化合物を同定することで候補となるバイオマーカーが選抜される(図1)。
  2. 選抜された候補マーカーの中で、特にセロトニンおよびソルビトールは健全葉中では含有率が極めて低く、発症に伴い顕著に増加している(図2)。また、トレハロースは発症度が中度の葉において含有率が高い(データ省略)。これらの成分は、葉枯症の症害との関連性が強く示唆される。
  3. セロトニン、ソルビトールおよびトレハロースはいずれも組織の乾燥や水ストレスによって集積することが報告されており、葉枯症の発症機構を特徴付ける上で重要な化合物と推察される。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、梅雨明け後7月中旬から9月中旬までのイネ生育相の異なる5つの時期において、長崎県内の発生歴のある地域(3地域)および発生歴のない対照地域(2地域)の圃場より得られた試料を用いた。
  2. 本成果で示されたバイオマーカーの探索法は、イネ葉枯症以外の幅広いストレス障害においても応用可能であり、作物における障害発生機構解明の迅速化につながる。
図表1 236177-1.png
図表2 236177-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2012/151d0_02_08.html
カテゴリ 乾燥 中山間地域

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