インド型イネ品種の一穂籾数増加させるQTLは第7染色体に座乗する

タイトル インド型イネ品種の一穂籾数増加させるQTLは第7染色体に座乗する
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2005~2013
研究担当者 小林伸哉
小出陽平
藤田大輔
Analiza G. Tagle
佐々木和浩
福田善通
石丸 努
発行年度 2013
要約 インド型品種IR64の遺伝的背景で一穂籾数を増加させるホシアオバ由来の量的遺伝子座(QTL)は第7染色体に座乗し、インド型品種における 収量性改善育種素材として活用できる。
キーワード ホシアオバ、準同質遺伝子系統、一穂籾数、QTL、IR64
背景・ねらい 国際稲研究所(IRRI)で育成されたインド型水稲品種IR64は、高品質で比較的病虫害に強く、広く熱帯地域で普及している。IR64の収量性のさらなる遺伝的改良を通じ、開発途上地域における食料安定生産に貢献するため、日本の多収品種ホシアオバ由来の一穂籾数を増加させる量的遺伝子座(QTL)の染色体上の座乗位置を明らかにし、IR64の遺伝的背景を持つ準同質遺伝子系統(Near Isogenic Line; NIL)を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ホシアオバに由来し一穂籾数(Total Spikelet Number per Panicle)を増加させるQTL(qTSN7.1)は、第7染色体の長腕に座乗し、DNAマーカーRM1132とRM505の間に検出される(図1)。
  2. IR64の一穂籾数は、雨季栽培で142、乾季栽培で107であるが、qTSN7.1 を有するNIL (BC4相当)はそれぞれ176(24%増)、150(40%増)と増加し、IR64の遺伝的背景で一穂籾数を増やす効果がある(表1)。
  3. 第7染色体の当該領域には、籾長(Seed Length)に関与するQTL(qSL7.1)も検出され、NILの籾長は、IR64に比べて3-6%短くなる(図1、表1)。
  4. IR64およびNILとの間には、一穂籾数および籾長以外の農業形質にほとんど差が見られない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 育成された系統は、各国で普及されているインド型品種のIR64が遺伝的背景となっていることから、熱帯の環境条件に適しており、途上国での食料安定生産に寄与する育種素材や品種候補系統として活用できる。
  2. 育成された系統は、遺伝子・環境相互作用解析などの実験材料として利用できる。
  3. QTLのDNAマーカー情報は、遺伝解析やマーカー選抜による一穂籾数増加系統の育成に活用できる。
  4. 開発した系統の一穂籾数の増加が収量に及ぼす効果の検証が必要である。
  5. 籾数の増加と籾長に関するQTLの原因遺伝子が異なるものかどうかは、今後検証する必要がある。
  6. この準同質遺伝系統の分譲については、JIRCAS企画調整部情報広報室に問い合わせる。
図表1 236332-1.jpg
図表2 236332-2.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2013/2013_A02.html
カテゴリ 病害虫 育種 水稲 DNAマーカー 品種

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