| タイトル | 水稲根を覆う鉄プラークによるヒ素の不溶化 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)農業環境技術研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
山口紀子 荒尾知人 前島勇治 大倉利明 高橋嘉夫 |
| 発行年度 | 2013 |
| 要約 | 水稲根の鉄プラークは、還元状態の土壌では吸収バリアとしてあまり機能していませんが、落水状態では鉄プラークの周りほど酸化的になりやすく、根の近傍でヒ素の不溶化を促進していました。 |
| 背景・ねらい | 農産物からのヒ素摂取源として、日本ではコメの寄与が大きく、水稲のヒ素吸収低減対策の推進が求められています。土壌から溶け出した鉄が水稲根の周りに沈着した鉄プラークには、ヒ素を吸着する性質があります。しかしヒ素の化学形態によって吸着されやすさは異なります。ヒ素の化学形態は、水田の水管理によって変化するため、湛水期間中と落水後の根の周辺のヒ素の化学形態を比較し、鉄プラークが根の近傍でヒ素の不溶化に関与しているかを評価しました。 |
| 成果の内容・特徴 | 湛水期間中(還元状態)と落水後(還元から酸化への移行時期)の水田から、水稲根を含むよう土壌をかたまりのまま採取し、図1のような土壌薄片を作成しました。図1に矢印で示した根の周りの赤く着色した部分が鉄プラークです。シンクロトロン放射光源マイクロビーム蛍光X線分析装置を利用し、薄片上のヒ素と鉄の分布を分析しました。また、X線吸収スペクトル微細構造から、ヒ素の化学形態を解析しました。 還元状態では、土壌中のヒ素は、還元型の亜ヒ酸が主体です。亜ヒ酸は比較的吸着しにくいため、土壌溶液に溶出しやすい傾向があります。根の周辺では、ヒ素が鉄プラーク上に集積し、亜ヒ酸が主要な化学形態でした。土壌中と鉄プラーク上のヒ素の形態は同じでした(図2)。鉄プラークは亜ヒ酸も吸着できますが、吸着力は強くないため、根の先端から亜ヒ酸が吸収されていることが確認されました(図3)。 落水によって土壌に酸素が供給されると、土壌は酸化的になります。ヒ素は落水後も鉄プラーク上に集積しており、酸化型のヒ酸が主要な化学形態でした。土壌中と比べ鉄プラーク上のヒ素の形態はヒ酸の割合が高く、ヒ素が動きにくい形態で存在していました(図4)。 鉄プラーク上では、土壌中にくらべ亜ヒ酸からヒ酸への酸化が早くすすみ、ヒ素の不溶化が促進されていることがわかりました。本成果は水稲根圏におけるヒ素動態の詳細を解明したものであり、今後のコメ中ヒ素低減技術開発への活用が期待されます。 |
| 成果の活用面・留意点 | 本研究は農林水産省委託プロジェクト研究「生産・流通・加工工程における体系的な危害要因の特性解明とリスク低減技術の開発」、放射光施設共同利用実験(KEK:2009G595・2011G016、 SPring-8:2011A1639、ALS:DE-AC02-05CH11231)による成果です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 研究内容 | http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result30/result30_54.html |
| カテゴリ | 加工 水田 水稲 水管理 |
| 時系列衛星画像による水稲の広域的な作付け分布及び作付け時期の解明 |
| 多検体分析に適したコメ中ヒ素化合物の分析法の開発 |
| ヒメトビウンカ海外飛来後の九州地域における薬剤感受性の動向 |