タイトル |
果肉が桃色で加工から生食まで幅広く利用できるリンゴ新品種「ローズパール」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1990~2012 |
研究担当者 |
阿部和幸
副島淳一
岩波宏
古藤田信博
森谷茂樹
別所英男
小森貞男
伊藤祐司
高橋(住吉)佐栄
岡田和馬
加藤秀憲
土師岳
石黒亮
増田哲男
土屋七郎
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発行年度 |
2013 |
要約 |
リンゴ「ローズパール」は大果で果皮が黄色い中生品種で、肉質、果汁の量、甘味はともに中位である。果肉が桃色に着色し、適度な酸味と甘味があり、加工品製造や調理、生食に利用できる。
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キーワード |
リンゴ、新品種、果肉着色、加工用、調理用、生食用
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背景・ねらい |
わが国で栽培されるリンゴ品種の果肉は、一般にアントシアニンを含まず、赤色を呈さないが、最近、農産物を利用した6次産業化の振興を背景に、付加価値の高い加工品製造に適した赤果肉リンゴ品種の果実が少し市場に流通しはじめている。しかし、現在流通している赤果肉品種は、肉質が粗く、酸味が強いことから、実需からは果実品質の改善が望まれていた。そこで、既存の赤果肉品種より品質が良好で、加工用や調理用など多用途に利用できる果肉着色性リンゴ品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 1990年に果樹試験場盛岡支場(現 果樹研究所リンゴ研究拠点)において、「ふじ」に「ピンクパール」を交雑して得られた実生から選抜した系統である。2001年11月に「6-941」の個体番号を付して圃場に定植した。2003年に初結実し、果肉が桃色に着色して食感が良いことから2008年に一次選抜して、2010年より特性調査を行った。その結果、比較的安定して果肉が着色して適度な酸味があり、既存の赤果肉品種より肉質が良いことが確認され、加工から生食まで幅広く利用可能なリンゴ品種としてふさわしいと判断された。
- 樹勢は中位で、短果枝の着生は中程度である。育成地(岩手県盛岡市)における開花盛期は5月中旬で、「紅玉」より3日程度早い。収穫盛期は10月中下旬で、「紅玉」とほぼ同時期である。収穫前落果は無ないし少で、慣行栽培では斑点落葉病の発生は見られない(表1)。
- 果皮は黄色で、果実重は390gと大果である。果肉が桃色に着色し、その色調は「ピンクパール」と同等もしくはやや濃い。果肉の粗密と果汁の量はともに中位で、「ピンクパール」よりも肉質が良く果汁が多い。糖度は14.3%程度、酸度は0.60g/100ml程度であり、甘味の程度は中位である(表2、図1)。
- 果肉色、果汁の色が桃~淡赤色を呈し、特徴あるカットフルーツやセミドライフルーツなど、加工品製造や調理用に適する。「ピンクパール」、「ジェネバ」など既存の赤果肉品種より酸度が低く、適度な酸味と甘味があることから、生食用にも利用できる(表2、図1、図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 既存のリンゴ栽培地域で栽培できるが、温暖なリンゴ地域における果肉の着色特性については未確認である。
- 年次や気象条件によっては果肉の着色程度の少ない果実がみられる。
- 斑点落葉病には抵抗性である。黒星病には罹病性であるが、通常のリンゴ品種に準じた防除により被害を回避できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2013/fruit13_s05.html
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カテゴリ |
病害虫
加工
黒星病
栽培技術
新品種
抵抗性
品種
防除
りんご
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