地下かんがいによる水稲乾田直播の苗立ち安定化と寒地向け直播適性品種の生育指標

タイトル 地下かんがいによる水稲乾田直播の苗立ち安定化と寒地向け直播適性品種の生育指標
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2010~2013
研究担当者 林 怜史
村上則幸
牛木 純
澁谷幸憲
辻 博之
君和田健二
発行年度 2013
要約 乾籾を用いた水稲乾田直播では、地表面まで水位が上昇し始めたら入水を止めるという水管理を繰り返すことで苗立ちの安定化が可能である。「ほしまる」では播種から出穂までに簡易有効積算気温1,100°Cを確保できる地域で乾籾播種が可能であり、目標苗立ち本数は150本/m2である。
キーワード イネ、乾田直播、乾籾播種、集中管理孔
背景・ねらい 種子の発芽と苗立ちには、温度、酸素、水の3つの条件が必要である。これまでの北海道における水稲乾田直播栽培では、過酸化石灰粉粒剤を粉衣した催芽種子を播種し、早期に湛水するという乾田播種早期湛水栽培が行われてきたが、近年、更なる省力化のため、乾籾播種のニーズが高まっている。また、北海道では、基盤整備時に集中管理孔が導入され、地下かんがいが可能な圃場が増加している。そこで、地下かんがいを活用し、播種後に地下水位を地表面まで上昇させることで、種子に空気と水分を同時に供給する苗立ち安定化技術を開発するとともに、生育遅延が懸念される乾籾播種の適応可能地域を明らかにする。さらに、乾田直播栽培で広く栽培されている「ほしまる」について、目標収量を500kg/10aとした場合の生育指標を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 乾籾で播種する場合、地下かんがいを活用することで、表面かんがいと比較して高い苗立ち数が得られる(図1)。これは、地下かんがいにおける土壌水分条件の変動が表面かんがいより小さく、安定的であることによる。
  2. 入水が自動制御されない集中管理孔などで地下かんがいを行う場合は、地表面まで水位の上昇が確認できたら入水を停止するという水管理を数日おきに繰り返すという手法が有効である(図2)。地表面が部分的に乾燥し始めたら再入水を行うという管理で、出芽、苗立ちに適した土壌水分条件を維持することができる。多量の降水後に圃場が湛水した場合には、水閘を開放し、積極的に排水することで、種子が過湿状態にならないようにする。
  3. 地下かんがいを利用することで、乾籾種子においても過酸化石灰粉粒剤粉衣種子に迫る苗立ち率が得られる(表1)。「ほしまる」乾籾播種において、播種から出穂までに要する簡易有効積算気温は約1,100°Cである。播種から出穂晩限までに安定的に1,100°Cを確保できる地域では、乾籾播種においても高い収量を得ることが可能である。
  4. 乾田直播栽培における「ほしまる」の目標収量(500kg/10a)を得るためには、総籾数23,000~24,000粒/m2、苗立ち本数150本/m2が必要である(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:地下かんがいが可能な圃場で乾籾を利用した乾田直播栽培を行う生産者。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道の水田作地帯において、乾田直播栽培の拡大に伴い、5年後には200ha程度の見込み。
  3. その他:本試験は、石狩および空知管内において、「ほしまる」を主として行われたものである。試験に用いた播種機は、浅耕ロータリシーダまたはグレーンドリルであり、播種後にケンブリッジローラなどによる鎮圧を行った。安定的な苗立ちのためには、播種深度約1cmの浅播きが望ましい。
  4. 入水開始は日平均気温が12°C以上になってから行い、低温が予想される場合には入水しない。
図表1 236641-1.jpg
図表2 236641-2.jpg
図表3 236641-3.jpg
図表4 236641-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2013/13_003.html
カテゴリ 乾燥 寒地 乾田直播 自動制御 省力化 水田 水稲 播種 品種 水管理

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