タイトル |
早生で倒伏に強い稲発酵粗飼料用水稲新品種候補系統「奥羽飼414号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2005~2013 |
研究担当者 |
福嶌陽
太田久稔
梶亮太
津田直人
山口誠之
中込弘二
片岡知守
遠藤貴司
|
発行年度 |
2013 |
要約 |
「奥羽飼414号」は、東北地域中部では"かなり早生"に属する粳種である。「べこごのみ」より、倒伏に強く、黄熟期乾物重が5~7%大きい。普及見込み地の直播栽培では、食用品種の収穫前に黄熟期収穫が可能で、黄熟期乾物重が大きい。
|
キーワード |
イネ、稲発酵粗飼料用、直播適性、早生、耐倒伏性
|
背景・ねらい |
飼料用水稲の需要拡大に伴い、多様な飼料用水稲品種が求められている。秋田県平鹿地域においては、「あきたこまち」等の食用品種との作業競合を避けるため、直播栽培適性があり、9月上中旬に黄熟期収穫ができる早生の稲発酵粗飼料用品種が求められている。そこで、早生で多収の稲発酵粗飼料用品種を育成する。
|
成果の内容・特徴 |
- 「奥羽飼414号」は、早生で黄熟期乾物収量が高い稲発酵粗飼料用品種の育成を目標に、耐倒伏性の強い飼料用系統「羽系飼864」を母とし、早生の発酵粗飼料用系統「青系飼161号(うしゆたか)」を父として交配した組合せから育成された粳系統である。
- 多肥移植栽培における出穂期は「べこごのみ」よりやや遅く、「ふくひびき」より早い。多肥直播栽培における黄熟期は9月8日前後で、食用品種「あきたこまち」の収穫が始まる9月下旬前に黄熟期収穫が可能である(表1)。
- 「べこごのみ」と比較して、稈長、穂長は同程度で、穂数はやや少ない。耐倒伏性は"かなり強"であり、多肥直播栽培においても倒伏はほとんど認められない(表1)。
- 多肥直播栽培において、「奥羽飼414号」の黄熟期の乾物重およびTDN収量は、「べこごのみ」より大きく、全乾物重に占める穂の割合は「べこごのみ」よりやや低い(表1)。
- 普及見込み地の直播栽培において、「奥羽飼414号」は黄熟期乾物重が大きく、サイレージの評価も良である(表2)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia、Pib"と推定され、圃場抵抗性は"不明"である。障害型耐冷性は"やや弱"、穂発芽性は"やや易"である(表1)。
- 多肥移植栽培においては、粗玄米重は「べこごのみ」と同程度で、玄米千粒重は、「べこごのみ」より明らかに重い。玄米の外観品質は"中下"であり、「あきたこまち」等の食用品種と識別可能である(表1)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 栽培適地は東北地域である。秋田県平鹿地域において「べこごのみ」に替えて2015年度は30haの作付を予定している。
- 障害型耐冷性は"やや弱"であるので、冷害の常襲地帯での栽培は避ける。
- いもち病真性抵抗性遺伝子Pibを保有すると推定され、通常いもち病の発生は問題とならないが、病原菌レースの変化により発生が認められた場合は防除を行う。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2013/tarc13_s07.html
|
カテゴリ |
病害虫
いもち病
直播栽培
需要拡大
飼料用作物
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
防除
|