穀物乾燥機の省エネルギー性能評価試験方法

タイトル 穀物乾燥機の省エネルギー性能評価試験方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2011~2013
研究担当者 土師健
杉浦泰郎
高橋弘行
松尾陽介
山﨑裕文
堀尾光広
原田泰弘
日高靖之
野田崇啓
横江未央
発行年度 2013
要約 穀物乾燥機の乾燥作業における消費エネルギーを測定・算出する方法である。もみ水分22~15%w.b.を評価区間に設定し、その間に使用した灯油と電力量から求められる実際の消費エネルギーを雰囲気の温湿度に基づいて補正・算出することにより、型式毎の省エネルギー性能を客観的に評価・比較できる。
キーワード 省エネルギー、試験方法、補正方法、穀物乾燥、環境負荷
背景・ねらい 収穫直後のもみは高水分で貯蔵に適さないため、穀物乾燥機(以下、乾燥機)によって15%w.b.(湿量基準含水率)程度まで乾燥される。この乾燥作業には多くの灯油が使用されているが、自動車のJC08モード燃費のような省エネルギー性能の目安となる数値を測定・表示できる試験方法は確立されていない。その理由として、温湿度等の乾燥時の雰囲気条件を揃えることが困難であることが挙げられる。したがって、省エネルギー性能の目安となる消費エネルギー値を測定し、精度良く表示できるようにするには、乾燥試験により得られる実際の消費エネルギーを、試験時の雰囲気条件を考慮して評価する必要がある。そこで、試験時の雰囲気条件に基づく補正を行い、乾燥機の省エネルギー性能を客観的に評価・比較する方法を確立し、「農業機械の省エネルギー性能認証表示制度」の評価試験方法に適用する。
成果の内容・特徴
  1. コンバイン収穫したもみ(24~26%w.b.程度)を実際に乾燥して消費されるエネルギーを測定し、それを雰囲気(空気取入口付近)の温湿度に基づいて補正し、もみに含まれる水1kgを蒸発させるために必要なエネルギー(MJ/kg)を算出する方法である。
  2. 測定項目は、もみ質量変化、灯油消費量、雰囲気の温湿度、消費電力量、張込時と排出時のもみ水分であり、もみ水分を除き乾燥開始から終了までを経時的に測定する(図1)。
  3. もみに含まれる単位質量の水を蒸発させるために必要なエネルギー(MJ/kg)は、もみ水分が小さいときほど大きくなるため、水分が異なる乾燥初期を評価の対象とすると結果の比較ができない。そこで、もみ水分が22%w.b.から15%w.b.まで乾燥する間を評価区間とする。22%w.b.、15%w.b.となる時刻は、乾燥終了時のもみ質量ともみ水分から絶乾質量を算出することで、各もみ水分時のもみ質量を推定でき、もみ質量変化の時系列データから求める。
  4. .乾燥試験における実際の消費エネルギーは、図2のとおり、灯油消費量と真発熱量から求める消費熱エネルギー(P)、消費電力量から求める消費電気エネルギー(Q)およびもみ質量変化から求める蒸発水量(R)から求められる。試験時の雰囲気条件に基づく補正エネルギーは、標準状態を雰囲気温度20°C、相対湿度65%とし、それに対する試験時の温湿度の差から求められ(図3のS)、補正を行った消費エネルギーは(P+Q+S)/Rにより求められる。
  5. 供試機3台(A機、B機、C機)のべ10回の試験の結果、もみに含まれる水1kgを蒸発させるのに必要なエネルギーは乾燥開始から終了までの全区間のものと比較して、評価区間の設定と標準状態との差による補正を行うことによりばらつきが小さくなり(表)、試験条件を揃えなくとも客観的に評価・比較できる消費エネルギーが得られる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農業機械メーカー、農業関係団体
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:省エネ性能認証試験実施型式数12型式/年
  3. その他:本測定算出方法は一般社団法人日本農業機械化協会が実施する「農業機械の省エネルギー性能認証表示制度」の省エネルギー性能の試験評価方法に採用され、乾燥機メーカー4社4型式の試験に用いられた。
図表1 236732-1.jpg
図表2 236732-2.jpg
図表3 236732-3.jpg
図表4 236732-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2013/13_083.html
カテゴリ 乾燥 機械化 省エネ・低コスト化

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