乳酸菌由来カロテノイドは乳酸菌のマルチストレス耐性向上に利用できる

タイトル 乳酸菌由来カロテノイドは乳酸菌のマルチストレス耐性向上に利用できる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 萩達朗
小林美穂
野村将
発行年度 2013
要約 Enterococcus gilvus から分離したカロテノイド生合成遺伝子crtNM を発現させることで、カロテノイドを生産することができる。カロテノイド生産によって、乳酸菌のマルチストレス耐性(過酸化水素・低pH・胆汁酸・リゾチームに対する耐性)が向上する。
キーワード :乳酸菌、カロテノイド、遺伝子発現、マルチストレス、ストレス耐性向上
背景・ねらい 乳酸菌は食品製造過程や消化管内において、酸化ストレスや酸・消化酵素によるストレスを受け、乳酸菌の活性および有用な機能性等が低下する。そのため、乳酸菌にストレス耐性を付与する技術開発が求められており、乳酸菌のストレス耐性機構を利用した乳酸菌の育種が行われている。また、ストレス耐性機構の構成因子である抗酸化物質は、動物の腸内酸化ストレスを軽減することも報告されており、乳酸菌のストレス耐性機構の研究は産業利用上重要である。
本研究では、乳酸菌のストレス耐性に着目し、カロテノイドの機能を明らかにする。乳酸菌がカロテノイドを生産することは報告されているが、乳酸菌由来カロテノイドの機能はまったくわかっていない。しかしながら、植物が生産するカロテノイドと同様に、宿主の酸化ストレス耐性等に関与していることが予想された。そこで、カロテノイド生合成遺伝子を単離し、カロテノイド非生産菌で強制発現させることで、カロテノイドが乳酸菌のストレス耐性に与える影響を明らかにし、カロテノイド生産乳酸菌の産業的な利用価値を見出す。
成果の内容・特徴
  1. カロテノイドを生産する乳酸菌はウシ生乳からすでに分離している。16S rRNA 解析によりEnterococcus gilvus に分類される(CR1株、アクセッションナンバー:AB742448)。
  2. E. gilvus から単離したカロテノイド生合成遺伝子は、プロモーター領域を含むcrtN およびcrtM 遺伝子群から構成される(図1)(アクセッションナンバー:AB742449)。
  3. 当該遺伝子をカロテノイド非生産性乳酸菌に導入・発現させることで、カロテノイドdiaponeurosporeneが生産され、菌体が黄色化する(図2)。
  4. カロテノイドを生産させることで、H2O2(酸化ストレス)、酸・胆汁酸(消化管内でのストレス)、リゾチーム(溶菌酵素)に対する乳酸菌のマルチストレス耐性が向上する(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 単離したプロモーターを含むカロテノイド生合成遺伝子は、カロテノイド生産に利用できる。
  2. 乳酸菌由来カロテノイドは乳酸菌のマルチストレス耐性向上に利用できる。
  3. 当該作用のメカニズムの解明が必要である。
図表1 236777-1.jpg
図表2 236777-2.jpg
図表3 236777-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s32.html
カテゴリ 育種 機能性

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