酵素剥皮技術で加工したウンシュウミカンの市場受容性

タイトル 酵素剥皮技術で加工したウンシュウミカンの市場受容性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2013~2014
研究担当者 河野恵伸
山本淳子
大浦裕二
野口真己
生駒吉識
発行年度 2014
要約 食品加工用の酵素剤を利用して剥皮したウンシュウミカンに対する消費者の評価は、従来の化学的な皮むき法よりも高く、剥皮方法の認知度の向上によりさらに高まる。ヘビーユーザーに向けたジューシーさや見た目を活かした剥皮果実の商品化が重要である。
キーワード 酵素剥皮、ウンシュウミカン、消費者、市場受容性
背景・ねらい 果実需要における加工品比率が高まる中で、果実加工品にもフレッシュ感が求められるようになっていることから、生鮮に近い食感や香りを保持できる加工方法として、酵素を用いた剥皮技術の開発が進められている。しかし、新しい加工技術を実用化・商品化する際は、最終的に商品を購入する消費者の評価をもとに新技術の市場性を検討しておく必要がある。そこで、食品加工用の酵素剤を利用して加工したウンシュウミカンを対象に、製品テスト(試食調査)による消費者評価や、Webアンケートでの選択実験による消費者の支払意思額の把握から、酵素剥皮技術を用いた商品の市場受容性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 酵素剥皮技術により表1中の写真のようなウンシュウミカンの試料(皮むきミカン)を作成し、消費者を対象に製品テストを行った。試食後の評価は、総合評価で5段階中4.03と高く、総合評価にはジューシーさや見た目などが影響している(表1)。また、性別や年代別では評価に違いは見られないが、ミカンがより好きな消費者やミカンの購入頻度が高い消費者の総合評価が高く、ミカンのヘビーユーザー(ミカンが大好きでよく購入する人)から好評を得ている。さらに、カットフルーツの購入頻度が高い消費者の評価も高い(表2)。
  2. 想定される皮むきミカンの購入場面としては、日常場面(通常の家で食べる時)が多いが、「自分だけのプチ贅沢」など様々な非日常場面で購入される可能性がある。また、皮むきミカンは丸ごとのものが選好されており、商品化に際しては、房に分けるよりも果実丸ごとを利用する方が酵素剥皮技術の特徴を活かせる(表3)。
  3. Webアンケートによる選択実験では、酵素法の皮むきミカンへの支払意思額は手むきよりも低く評価されたが、缶詰ミカンの一般的な剥皮方法である酸・アルカリ法より高い。また、酵素法については、剥皮技術を認知している消費者は、認知していない消費者よりも高く評価する(図1)。
  4. 以上より、酵素剥皮したウンシュウミカンは、従来の酸・アルカリ法よりも評価が高く、剥皮方法の認知度を上げること及び商品への表示を行うことや、果実丸ごとの形状や見た目を生かした商品にすることにより、市場受容性がより高まる可能性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 産地や加工業者、小売業者が酵素剥皮技術の実用化に取り組む際に活用できる。
  2. 手むきは、外皮や薄皮(じょうのう膜)を手やナイフで取り除く方法である。通常、ウンシュウミカンでは果肉から薄皮をきれいに取り除くことが難しいため、手むきでの商品化は困難であり、仮想的な「参考技術」である。
図表1 237002-1.jpg
図表2 237002-2.jpg
図表3 237002-3.jpg
図表4 237002-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2014/narc14_s37.html
カテゴリ 温州みかん 加工

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