タイトル |
チャ害虫の寄生性天敵キイロタマゴバチに悪影響の大きい農薬類 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2008~2014 |
研究担当者 |
石島力
豊島真吾
大泰司誠
佐藤安志
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発行年度 |
2014 |
要約 |
チャに登録のある農薬類のうち、有機リン系、ピレスロイド系、ネオニコチノチド系を含む化学合成殺虫剤14剤、殺ダニ剤1剤はキイロタマゴバチ成虫に対する死虫率が高く、悪影響は大きい。
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キーワード |
キイロタマゴバチ、チャ害虫、天敵、農薬、IPM
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背景・ねらい |
チャのハマキガ類の防除には、主として化学合成殺虫剤が使用されているが、薬剤感受性の低下などから、代替防除法の開発が求められている。そこで、ハマキガ類の土着天敵であるキイロタマゴバチに対する各種農薬の影響を調査し、ハマキガ類防除の代替手段として本種を保護・活用するチャ病害虫の総合防除体系を構築する際の情報として利用する。
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成果の内容・特徴 |
- チャに登録のある各種農薬(殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤)が、キイロタマゴバチ成虫(図1)に及ぼす影響を、IOBC(国際生物防除機構)の室内試験基準に準拠して評価すると、有機リン系4剤、ピレスロイド系1剤、ネオニコチノイド系4剤、殺ダニ剤1剤、エマメクチン安息香酸塩乳剤、クロルフェナピル水和剤、トルフェンピラド乳剤、ジアフェンチウロン水和剤、スピノサド水和剤は死虫率が高く、キイロタマゴバチに及ぼす悪影響は大きい(表1)。
- 選択性が高い昆虫成長制御剤(IGR)の5剤は死虫率が低い。また、殺ダニ剤5剤、殺菌剤8剤、ネオニコチノイド系殺虫剤のチアクロプリド水和剤、その他の化学合成殺虫剤に分類されるフルベンジアミド水和剤も死虫率は低い。
- チャノミドリヒメヨコバイおよびチャノキイロアザミウマの防除に使用される薬剤のうち、キイロタマゴバチ成虫の死虫率が高く、影響が大きいと評価されたトルフェンピラド剤と、それに比べて死虫率が低いエチプロール・チアクロプリド剤を散布した処理区とを比較すると(野外網室における薬剤散布試験)、トルフェンピラド剤区におけるキイロタマゴバチの寄生率は有意に低くなる(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- キイロタマゴバチ成虫を保護・活用するチャ病害虫の総合防除体系を構築する際には、本種に対して悪影響のある農薬類の散布は控える。
- 薬剤の種類によって、各種チャ害虫に対する効果が低下している地域もみられることから、薬剤選択に当たっては、各都府県の防除所等から出されている情報等にも注意する。また病害虫類の薬剤抵抗性管理のため、同一剤を連用しないよう留意する。
- 供試したキイロタマゴバチ成虫は、静岡県島田市金谷猪土居の野菜茶業研究所内で採集した雌成虫に由来するものである。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2014/vegetea14_s13.html
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カテゴリ |
病害虫
害虫
茶
抵抗性
土着天敵
農薬
防除
薬剤
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