非定型Salmonella Typhimuriumの性状と同定法

タイトル 非定型Salmonella Typhimuriumの性状と同定法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2008~2014
研究担当者 秋庭正人
井戸徳子
李謙一
岩渕香織
泉谷秀昌
内田郁夫
楠本正博
岩田剛敏
大西真
発行年度 2014
要約 S. Typhimurium(ST)の同定において、H抗原の誘導(従来法)と平行してST同定用マルチプレックスPCRと変異同定用PCRを補助的に用いることによって、A型およびB型非定型STを正確に同定できる。
キーワード Salmonella Typhimurium、4:i:-、鞭毛抗原
背景・ねらい 畜産物を介してヒト食中毒の原因ともなるSalmonella Typhimurium(ST)による家畜のサルモネラ症は届出伝染病に指定されているが、近年、通常の方法ではSTと型別できない非定型株の分離頻度が上昇している。これら菌株は2種類ある鞭毛(H)抗原の一方を発現しない。抗原構造はSTの4:i:1,2に対し、非定型STでは4:i:-と表記される(図1)。定型株と非定型株の病原性に差はないので、非定型株ももれなく同定される必要がある。H抗原の誘導と型別には2日以上の時間がかかり、誘導不能と結論するためには熟練を要することから、本研究では国内分離株の性状を明らかにすることで非定型STの新たな同定法を提案する。
成果の内容・特徴
  1. 2000~2010年に国内のヒト、動物、環境、食品などから分離された非定型ST、51株では一方のH抗原を発現せず、STと同定することができない(図1)。
  2. 51株はST同定用マルチプレックスPCR(m-PCR)(動物衛生研究所2011年の成果情報、http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2011/170d1_01_30.html参照)で全て陽性の結果を示すことから、これら菌株がSTの変異株であることが示唆される。
  3. H抗原の発現に関与する遺伝子の保存性を変異同定用PCR(発表論文参照)で確認すると、陽性対照としてのSTでは増幅を認めるのに対し、51株中43株(84%)では増幅が認められない。
  4. 比較ゲノムハイブリダイゼーション解析により、これら菌株では関連遺伝子を含む染色体の大規模な欠失が起こり、一方のH抗原を発現できないことが示唆される(A型非定型ST)。
  5. 変異同定用PCRで増幅を認めた8株(16%)では増幅産物の塩基配列解析などにより、アミノ酸置換を伴う点変異が一方のH抗原を発現できない原因であることが示唆される(B型非定型ST)。
  6. 以上のことから、H抗原の誘導(従来法)と平行してST同定用マルチプレックスPCRと変異同定用PCRを補助的に用いることによって、非定型STについてA型およびB型を同定できる。すなわち、従来法でH抗原1,2が誘導されないもののうち、前者で陽性、後者で陰性の結果が得られた場合、A型非定型STと同定できる。ともに陽性の結果が得られた場合は後者の増幅産物の塩基配列を解析する。アミノ酸置換を伴う点変異が確認できればB型非定型STと同定できる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:家畜保健衛生所、食肉衛生検査所、動物検疫所、地方衛生研究所
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他: STによるサルモネラ症発生の全数を正確に把握するため、従来法と補助法を併用したモニタリングを国に提案していきたい。なお、ST同定用m-PCRについては簡易キットが市販されている。
図表1 237116-1.jpg
図表2 237116-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2014/14_050.html
カテゴリ モニタリング

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