若刈牧草とホールクロップサイレージ大豆の連続栽培による高タンパク質飼料生産

タイトル 若刈牧草とホールクロップサイレージ大豆の連続栽培による高タンパク質飼料生産
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2008~2014
研究担当者 魚住 順
嶝野英子
河本英憲
内野 宙
金子 真
出口 新
発行年度 2014
要約 若刈りのイタリアンライグラスを収穫後、再生草をリビングマルチ利用してホールクロップサイレージ用大豆を栽培すれば、アルファルファの栽培が難しい地域でも、良質な高タンパク質飼料を自給できる。栽培・収穫作業は牧草・飼料作用機械で対応できる。
キーワード 大豆ホールクロップサイレージ、高タンパク質飼料、若刈牧草、無農薬
背景・ねらい アルファルファ(ALF)は乳牛用の重要な高タンパク質飼料であるが、日本での栽培適性が低いため、大部分を輸入に依存している。これに代わる自給飼料の導入が長年図られてきたが、未だ広く実用化された作物はない。若刈牧草はその候補の一つであるが収穫適期が春期の一時期に限られるため収量性が低い。また、北米で普及しているホールクロップサイレージ(WCS)用大豆も有望な候補のひとつではあるが、登録農薬がないという制約がある。そこで、両者を連続栽培することにより、若刈牧草とWCS用大豆の両方を、除草剤を用いることなく簡易に栽培・収穫する体系を開発する。
成果の内容・特徴
  1. まず、秋播き性のイタリアンライグラス(IRG)を早春に播種することにより栄養生長を長期間維持させ、これを若刈牧草として収穫する。その後、大豆を不耕起播種してディスクハローを掛けると、IRGの再生草がリビングマルチとして適切に機能し、無中耕・無除草剤でWCS用大豆を栽培できる(図1)。
  2. 大豆は、子実肥大盛期(R6ステージ)までであれば牧草と同じ作業機で予乾収穫でき、黄葉中期(R7ステージ)に達すれば全面刈りコーンハーベスターでダイレクト収穫できる。東北北部での播種適期はIRGが4月上旬、WCS大豆が6月末である(図1)。予乾収穫体系とダイレクト収穫体系の実収量に大きな差はない(図2)。
  3. IRGの乾物収量は370kg/10a程度、WCS用大豆の乾物収量は510kg/10a程度で、雑草の侵入はほとんどみられない(表1)。
  4. サイレージ品質はIRG、予乾収穫大豆、ダイレクト収穫大豆のいずれも良好である。IRGは未出穂であるため一般のイネ科牧草と比べ蛋白質含量とTDNが高い。また、大豆WCSの飼料価値は輸入ALF乾草と比べて遜色ない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:乳牛飼養農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:関東地域北部~東北地域・300ha
  3. その他:本体系における大豆の最適品種は「タチナガハ」である。ALFとの栄養特性の違いについては「ダイレクトカット収穫による大豆ホールクロップサイレージの刈取り適期」(農研機構2013年研究成果情報)も参照されたい。本体系に必要な資材費は、乾物1kg(IRG、大豆共通)当たり約27円である。播種機は、トウモロコシ用不耕起播種機(ジョンディア製JD-1750、アグリテクノ矢崎製NTP2等)を利用できる。本成果は無農薬で栽培した結果に基づくが、除草剤以外の薬剤を使用せずに栽培が可能かについては、導入地別に別途検討する必要がある。大豆の畦幅は75cmでも可であるが40~60cmの狭畦の方が望ましい。大豆の茎葉は梱包密度が高くなりにくいので、ロールベール調製の場合は、芯巻きのカッティングロールベーラーが必要である。
図表1 237246-1.jpg
図表2 237246-2.jpg
図表3 237246-3.jpg
図表4 237246-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2014/14_016.html
カテゴリ 病害虫 アルファルファ イタリアンライグラス 雑草 除草剤 大豆 とうもろこし 乳牛 農薬 播種 品種 薬剤

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