周年放牧肥育技術により放牧赤身牛肉生産が可能になる

タイトル 周年放牧肥育技術により放牧赤身牛肉生産が可能になる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2014
研究担当者 小林良次
中村好德
金子 真
林 義朗
神谷 充
吉川好文
山田明央
発行年度 2014
要約 周年放牧に補助飼料を併給する「周年放牧肥育技術」により、肉質等級2等級の牛肉が生産可能であり、等級結果は品種(褐毛和種、黒毛和種)、肥育期間や飼料の種類に影響を受けない。褐毛和種の場合は、慣行肥育牛と異なる特徴を有する。
キーワード 周年放牧肥育技術、褐毛和種、黒毛和種、肉用牛、肉質等級
背景・ねらい 近年、放牧や粗飼料多給などの生産方法に対しての消費者意識の高まりから赤身牛肉への関心が高まっている。一方、わが国の肉用牛は畜舎で多量の輸入穀物飼料と少量の粗飼料によって飼育されているのが現状である(以下、慣行肥育とする)。今後は、動物の健康と飼料自給率に配慮した持続的な方法により生産された牛肉が求められる。また、農村地域における農業人口の高齢化・専業農家数の減少等により増大している耕作放棄地の解消も喫緊の課題である。
これらの課題を解決するために、周年放牧が可能な九州低標高地域において、放牧を最大限に活用した新しい肉用牛生産方法「周年放牧肥育技術」を開発した。本技術は平坦な放牧地で周年にわたり昼夜とも放牧することが特徴である。そこで、「周年放牧肥育技術」により慣行肥育牛肉とは異なる赤身牛肉生産が可能であることを検証する。
成果の内容・特徴
  1. 2006年から2014年までの間に導入した肥育素牛(褐毛和種去勢雄牛18頭および黒毛和種去勢雄牛11 頭;8~10ヵ月齢、体重300kg前後)を暖地型牧草(バヒアグラスなど)と寒地型牧草(イタリアンライグラス)を組み合わせた周年(昼夜)放牧に、トウモロコシサイレージなどの補助飼料を組み合わせて飼養すると、牛枝肉格付評価はすべて肉質等級2等級となる。また、周年放牧肥育牛の等級は、牛の品種、肥育期間ならびに補助飼料や出荷時に給与された放牧草の種類の影響を受けない(表1)。
  2. 周年放牧肥育牛(褐毛和種去勢雄牛:14頭)の枝肉は牛脂肪交雑基準(BMS No.)の値が低く、牛肉色基準(BCS No.)および牛脂肪色基準(BFS No.)の値が高いという特徴を有する(図1)。
  3. 周年放牧肥育牛の肉質は日本食品標準成分表2010に記載される和牛肉(黒毛和種去勢牛のA3またはA4格付けのもの)および乳用肥育牛肉(ホルスタイン種去勢牛のB2格付けのもの)に比べて、リブロース中の脂質含量が低く、βカロテン含量が高い(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 周年放牧肥育により赤身牛肉生産に取り組む生産者への参考資料となる。
  2. 本成果では、肥育素牛は子牛市場より購入し、育成時の飼養状況等の前歴の影響は不明である。
  3. 枝肉重量および歩留等級については、放牧草および補助飼料の種類により変動する。
図表1 237306-1.jpg
図表2 237306-2.jpg
図表3 237306-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s05.html
カテゴリ イタリアンライグラス 寒地 出荷調整 トウモロコシサイレージ 肉牛 品種

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