| タイトル | 樹木の被害から竜巻の強さを知る |
|---|---|
| 担当機関 | (国)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
鈴木 覚 野口 宏典 南光 一樹 勝島 隆史 加藤 徹 渡井 純 |
| 発行年度 | 2016 |
| 要約 | 幹折れや根返りなどの樹木の被害と風速とを風工学的な手法で対応させました。本成果により、竜巻等突風の強さの基準である日本版改良藤田スケールに「広葉樹」と「針葉樹」が被害指標として採用されました。 |
| 背景・ねらい | 近年、竜巻の認知件数が増加しています。竜巻は短い時間、ごく狭い範囲に発生し、既存の気象観測網で強さを測定することが難しいため、家屋などの被害状況から竜巻の強さを評定してきました。樹木も竜巻によって幹折れや根返りなどの被害を受けることがあり、樹木の被害と竜巻の強さを対応づけるため、被害形態ごとに被害をもたらす風速を推定できるようにしました。その結果、竜巻等突風の強さの基準として気象庁が策定した日本版改良藤田スケールに樹木の被害が指標として採用されました。これにより、樹木の被害から竜巻等突風の強さを精度よく評価できるようになりました。 |
| 成果の内容・特徴 | 樹木の被害と竜巻等突風の強さとの関係 竜巻等の突風が樹木や森林を襲った場合、主に、幹が折れる「幹折れ」、根ごとひっくり返る「根返り」、枝が折れる「枝折れ」の被害形態がみられます(図1)。私たちは多数の樹木の幹の直径や樹冠の大きさ等を測定し(図2)、樹木の幹や根が耐えうる限界の強さと樹木に作用する風力を計算しました。限界の強さに風力が達すると樹木に被害が発生します。そのときの風速が被害を発生させる風速になります。針葉樹と広葉樹は樹形や幹の強度が異なるため、別々に被害形態と風速との対応関係を作りました。また、幹や枝が腐っている場合は小さい風速で被害が発生するため、腐朽がある場合も考慮しました(表1)。 「針葉樹」と「広葉樹」が被害指標に 竜巻の強さを評定するにあたって、まず、何がどのような被害を受けたかという状況を把握し、その状況をもたらす風速を推定します。次に、推定した風速の大きさに応じて強さを6段階にランク分けします。「何が」に相当するものを被害指標と呼びます。我が国に先んじて米国やカナダで竜巻等突風の強さの基準である改良藤田スケールが開発されました。そこにも樹木は被害指標に含まれていますが、樹木の被害と竜巻の強さとの関係に科学的根拠が明確でなく、広葉樹と針葉樹の違いもそれほど考慮されていませんでした。私たちは針葉樹と広葉樹の区別、および健全な樹木と腐朽のある樹木の区別を行い、科学的な根拠をもって樹木被害と風速を対応づけました。今回作成した樹木被害と風速の対応関係が日本版改良藤田スケールに採用された結果、全部で30項目ある被害指標の中に「針葉樹」と「広葉樹」の2項目が入りました。 被害指標としての樹木 樹木以外の被害指標は家屋等の人工物です。そのため、樹木は田園地帯や森林などの人工物が少ない場所では数少ない被害指標として特に重要です。また、樹木は世界中に分布するので、世界各国に共通した汎用の被害指標として活用できる可能性もあります。科学的根拠に基づく精度の高い樹木被害データは、竜巻研究、竜巻対策の有効な基礎データになると考えられます。 本研究は、JSPS 科研費(JP26450219)「竜巻強度を樹木被害から簡便に推定する手法に関する研究」による成果です。 詳しくは、鈴木覚 他(2015)日本版改良藤田スケールの開発-樹木の DI と DOD の提案-、日本風工学会誌、40(2):127-128 及び気象庁(2015)日本版改良藤田スケールに関するガイドライン(http:// www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/kentoukai/kaigi/2015/1221_kentoukai/guideline.pdf)をご覧下さい。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 研究内容 | https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2016/documents/p50-51.pdf |
| カテゴリ | くり |
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