| タイトル | 全国調査により枯死木・リター・土壌の炭素蓄積の状況を探る |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
金子 真司 南光 一樹 今矢 明宏 鵜川 信 |
| 発行年度 | 2013 |
| 要約 | 全国の森林で枯死木・落葉落枝(リター)・深さ30cmまでの土壌の炭素量調査を行いました。それらに樹木の約1.3倍の炭素が蓄積し、気温だけでなく火山灰の影響の強さが地域分布を決める要因となることを明らかにしました。 |
| 背景・ねらい | 森林には樹木だけでなく、枯れ木(枯死木)や落葉落枝からなる堆積物(リター)、有機物を含んだ土壌が存在します。それらの炭素はゆっくりと分解されていくため、森林の炭素貯留機能に対するそれらの効果を把握する必要があります。そこで国際的な方法に従って枯死木・リター・深さ30cmまでの土壌の炭素量の全国調査を行いました。その結果、わが国の枯死木・リター・深さ30cmまでの土壌の総炭素蓄積量は、樹木の約1.3倍であることを明らかにしました。土壌の炭素量は寒冷な地域ほど多く、温暖な地域でも火山灰土壌が分布する地点では特異的に多い炭素量を示しました。気温だけでなく火山灰の影響の強さも地域分布を決める要因であることを明らかにしました。 |
| 成果の内容・特徴 | 背景・目的森林内には樹木や下草などのほかに、枯れ木(枯死木)・落葉落枝の堆積物(リター)・土壌有機物が存在し、それぞれが炭素を蓄積しています(図1)。樹木は年を取ると枯れていきますが、若くても台風や雪の被害で倒れたり病気で枯れたりします。地表を覆ったリターは、土壌動物や微生物によって少しずつ分解され、一部の有機物は土壌に残ります。土壌中の根は生死を繰り返しており、死んだ根の一部は有機物として土壌に貯まっていきます。これら炭素蓄積の量や質が年とともにどのように変化するか地球温暖化防止の点から関心が高まり、世界各地で調査が進められています。我が国でも2006年度から国際的な方法に従って枯死木・リター・深さ30cmまでの土壌の炭素量の全国調査が始まりました(図2)。調査の方法は2011年の成果選集をご覧いただくとして、ここでは5年間の調査で明らかになったことを中心に紹介します。 枯死木・リター・土壌の総炭素蓄積量全国の森林に、枯死木・リター・深さ30cmまでの土壌にそれぞれ10,500・12,300・174,200万トンの炭素が存在することを明らかにしました。これらの炭素の総量は森林の樹木(生体バイオマス)の約1.3倍に相当し、樹木生育を支える土壌も炭素蓄積の重要な場であることを初めて定量的に示すことができました注)(図3)。全国分布の特徴枯死木・リター・深さ30cmまでの土壌の炭素量は寒冷な地域で蓄積量が多い傾向にあり、特に土壌で傾向が明瞭でした。気温が低いと有機物の分解が遅いことが理由であり、他の国でも同様の結果が得られています。しかし温暖な中国地方、九州地方でも火山の東側を中心に土壌の炭素量が特異的に多い場所が存在しました(図4)。火山灰から生成された土壌は炭素と結びつきやすいために、温暖な地域においても炭素蓄積量が多くなることを明らかにしました。火山国である我が国では今後の二酸化炭素吸排出量予測において火山灰の影響を無視することができないことを示唆しています。炭素蓄積量の変化第一期調査は2010年度に終了し2011年度から2順目に入っています。2011年度の結果を第一期と比較したところ、両者はほぼ同じ値でした。このことは枯死木・リター・土壌の炭素量は短期間に変化しにくいという従来からの予測を裏付けるものです。本調査で得られた成果は、京都議定書に対応した炭素吸排出量の国際報告に利用されます。今後はさらに調査を続けて枯死木・リター・土壌の炭素量の変化や炭素蓄積メカニズムなどを明らかにしていく予定です。 本研究は、「予算区分:政府等受託、課題名:森林吸収量把握システムの実用化に関する研究」による成果です。 注)土壌の炭素量は深さ1mまでの蓄積量で評価する場合もあります。その場合の蓄積量は深さ30cmまでの約2倍となります。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2013/documents/p30-31.pdf |
| カテゴリ | くり |
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