ダッタンソバ「満天きらり」の加工時のルチン含量の変動要因

タイトル ダッタンソバ「満天きらり」の加工時のルチン含量の変動要因
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2013~2015
研究担当者 森下敏和
鈴木達郎
野田高弘
石黒浩二
芦澤順三
発行年度 2016
要約 「満天きらり」は微量のルチン分解酵素活性を持つため、粉へ加水後ルチンが徐々に分解するが、従来品種よりルチンが多い食品を製造できる。分解速度は粉への加水率に影響される。粉のルチン含量、ルチン分解酵素活性は年次/栽培地域で大きく変化しない。
キーワード 満天きらり、ダッタンソバ、ルチン含量、ルチン分解、加工
背景・ねらい ダッタンソバ(Fagopyrum tataricum)はポリフェノールの一種のルチンを普通ソバの100倍程度多く含有する。しかし従来品種は食品加工時のルチン分解とそれに伴い生成する強烈な苦味が問題である。近年、原因であるルチン分解酵素活性が極めて低い新品種「満天きらり」を育成し、実需者からの問い合わせや増産計画が引きも切らない状況にある。しかし、「満天きらり」も微量のルチン分解酵素活性を含んでいるため、各種食品加工時のルチン分解速度や残存程度を把握する必要が求められている。そこで、「満天きらり」の高ルチン含量を活かした食品開発を確実にして一層の普及拡大を進めるため、粉への加水に伴うルチン分解の消長を加水率ごとに把握しつつ、各種試作食品におけるルチン分解程度を評価する。さらに、ルチン含量とルチン分解酵素活性の年次・産地間差を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 従来品種「北海T8号」の粉に加水すると直ちにルチンは分解され残存しないが、「満天きらり」の場合はルチンの分解が徐々に進む(図1)。
  2. 「満天きらり」の粉への加水率30%、45%では(それぞれ機械製麺、手打ち麺を想定)、加水後120分後で20%以下のルチンが分解し、100%、400%(それぞれパン、ガレットを想定)では約50%が分解する(図1)。
  3. 「満天きらり」の試作食品は「北海T8号」と比較しルチンが多く残存し、その残存率には加水率が影響する(表1)。
  4. 北海道(雄武町)、熊本県(合志市)における「満天きらり」のルチン含量は2,050から2,390mg/100g粉、ルチン分解酵素活性は0.044から0.063nkat/g粉の範囲で(1katは、1秒に1モルの反応)、年次間、産地間で大きく変動しない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:食品加工・販売業者
  2. 普及地域・普及面積等:2016年度の「満天きらり」作付けは北海道を中心に約300ha(約200haはオホーツク地域)。全国のソバ屋、外食チェーン、居酒屋チェーン、土産物店、通販等で乾燥麺、パスタ、パン、茶、菓子等の食品が販売中。外食チェーンの年間消費量は、麺1食30gが133万食(玄ソバ80トンに相当)の見込み。
  3. 加工のために粉へ加水処理をする場合、長時間放置するとルチンの分解が進むため、速やかに加熱や乾燥等の工程に移し酵素反応を止めることが望ましい。
  4. 北海道以外で栽培する場合、複数年栽培試験を実施し適性を判断する。
  5. 「満天きらり」以外のダッタンソバ粉等の混入があるとルチン含量に影響を与えるため、混入防止マニュアルを作成し公表する予定である(2017年春)。その試行版を一部団体等に約60部配付している。
  6. 即席麺、菓子・パンへの利用は農研機構等との特許許諾あるいは許諾を受けた企業からの原料調達が必要である(特許第5887070号、特許第5950431号 )。
  7. 実験動物を用いた急性毒性試験、亜急性毒性試験(28日間反復投与試験)、微生物を用いた細胞毒性試験(AMES試験)にて「満天きらり」の粉は陰性である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2016/16_026.html
カテゴリ 加工 乾燥 新品種 そば 品種

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