ソルガム新品種「涼風」および「峰風」を活用した2つの新たな飼料作物作付体系

タイトル ソルガム新品種「涼風」および「峰風」を活用した2つの新たな飼料作物作付体系
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2013~2015
研究担当者 菅野勉
森田聡一郎
千田雅之
西村和志
浅井貴之
後藤和美
清沢敦志
横澤将美
平尾賢一
折原健太郎
菅原徹
本谷直
酒向奈都美
発行年度 2016
要約 ソルガム新品種「涼風」を活用した獣害を軽減しつつ高栄養粗飼料を周年的に生産する年3回刈り栽培、並びにソルガム新品種「峰風」を活用した従来の作付体系との作期分散が可能なトウモロコシ・ソルガム混播2回刈り栽培の2つの作付体系を開発する。
キーワード 獣害、スーダン型ソルガム、トウモロコシ・ソルガム混播栽培
背景・ねらい 我が国本州以南の水田転換畑における飼料作物作付体系としては、夏作トウモロコシ(Zea mays L.)と冬作のイタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)等を組み合わせる二毛作体系が中心となっている。しかし、近年、中山間地等においてはクマによる獣害の発生等からトウモロコシの作付けが敬遠される場合が生じている。また、コントラクター等による大規模な飼料作付けにおいては、基幹となる作付体系だけではなく、異なる作期の作付体系を組み合わせ、作期の分散を図ることが重要となる。このため、本研究では、長野県畜産試験場により育成されたスーダン型ソルガム(Sorghum bicolor Moench × Sorghum sudanense[Piper] Stapf.)新品種「涼風」および「峰風」を活用することで、主に関東甲信越地域を対象とし、従来の作付体系を補完する新たな作付体系を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 高消化性遺伝子を有するソルガム新品種「涼風」とイタリアンライグラスを組み合わせることで、獣害を軽減しつつ、高栄養の飼料を周年的に生産する年3回刈り栽培が可能になる(図1)。この作付体系により、高標高地や積雪地では従来の獣害軽減型の作付け(ソルゴー型ソルガム年1作)に比較し、年間合計TDN収量が増加する(図2)。
  2. ソルガム「涼風」を用いた年3回刈り栽培は牧草用の収穫機械のみで収穫可能であり、機械費が低減できるため、飼料作面積17~20haのモデル経営での試算では、飼料作面積の約半分で年3回刈り栽培を行う場合、経営全体でのTDN1kg当たり生産費の平均値(77円/kgTDN)はトウモロコシ主体の場合(91円/kgTDN)に比較し、約15%低い。
  3. 再生力に優れ多収となるスーダン型ソルガム新品種「峰風」とトウモロコシ極早生品種を組み合わせ、4月中旬までに播種することで、1番刈りを8月上旬、2番刈りを10月下旬~11月下旬に行う混播2回刈り栽培が可能となる(図1)。
  4. ソルガム「峰風」を用いた混播2回刈り栽培の年間合計TDN収量は慣行二毛作よりもやや高いものの、従来の混播用ソルガム品種「FS501」とトウモロコシとの混播2回刈り栽培よりやや低い(図3)。しかしながら、従来の混播2回刈り栽培や二毛作トウモロコシよりも2週間以上早く収穫可能なため、作期分散技術として活用できる。
  5. 開発された両作付体系の関東甲信越地域における導入適地は、ソルガム「涼風」を用いた年3回刈り栽培では低標高地から高標高地までの広い範囲となるが、ソルガム「峰風」を用いた混播2回刈り栽培の導入適地は主に関東中部以南の低標高地である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:飼料生産コントラクター、畜産農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:クマ等の獣害によりトウモロコシの作付けが困難となっている地域など、関東甲信越地域で両品種合わせて150ha。
  3. その他:本成果の詳細は「スーダン型ソルガム新品種「涼風」および「峰風」を活用した粗飼料生産マニュアル(関東甲信越地域向け)<2016年度版>」として公開しており、ダウンロード可能。ソルガム「涼風」の種子は主要な種苗会社より市販されており入手可能であるが、「峰風」の種子は平成31年度より市販開始予定。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2016/16_005.html
カテゴリ イタリアンライグラス 経営管理 コントラクター 収穫機 飼料作物 新品種 水田 ソルガム 中山間地域 とうもろこし 二毛作 播種 品種

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