カンピロバクターの鶏腸管定着に必須な糖鎖修飾酵素の同定

タイトル カンピロバクターの鶏腸管定着に必須な糖鎖修飾酵素の同定
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究期間 2013~2016
研究担当者 岩田剛敏
渡部綾子
楠本正博
秋庭正人
発行年度 2016
要約 カンピロバクターの細胞壁を構成する糖鎖の修飾酵素を欠損させると、本菌の運動性、バイオフィルム形成能、マクロファージによる貪食と殺菌に対する抵抗性が低下し、鶏腸管定着性が大きく減弱する。
キーワード カンピロバクター、ペプチドグリカン、O-アセチル化、鶏
背景・ねらい 細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカンは、N-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンから成る糖鎖を、ペプチド鎖が架橋する形で構成されており(図1)、菌の形態維持・変化に中心的な役割を果たしている。ペプチドグリカンのN-アセチルムラミン酸はO-アセチル化酵素(PatAおよびPatB)により修飾され、グラム陽性菌においてはO-アセチル化が病原性と強く関連する。
一方、食中毒菌として知られるグラム陰性らせん菌のカンピロバクターにおいて、PatAおよびPatBによるペプチドグリカンのO-アセチル化が菌にとってどのような意味を持つのかは不明である。そこで本研究ではカンピロバクターの病原性の解明のため、PatAおよびPatBの機能および生物学的意義を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. カンピロバクターの野生株を用いてアセチル化酵素欠損株と、それら欠損株の遺伝子相補株を作出することができる。
  2. アセチル化酵素欠損株のペプチドグリカンのO-アセチル化レベルは野生株の49~69%である(P<0.05)。
  3. アセチル化酵素欠損株の運動性および試験管内バイオフィルム形成能は野生株よりも低い。
  4. アセチル化酵素欠損株は野生株よりもマクロファージに貪食されやすく、細胞内での生残性が低い。
  5. アセチル化酵素欠損株の鶏腸管定着性は野生株よりも低い(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ペプチドグリカンのO-アセチル化修飾は、カンピロバクターが細胞壁の完全性を維持し、鶏腸管に定着するのに必須であると考えられる。
  2. ペプチドグリカンは細菌に特有の構造物であり、これを標的とする複数の抗菌薬系統がすでに実用化されている。ペプチドグリカンのO-アセチル化酵素は、新しいカンピロバクター定着阻害剤開発の標的として利用できる可能性がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niah/2016/niah16_s18.html
カテゴリ 抵抗性

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