蓄熱水槽を2つ有するヒートポンプシステムの地下水熱源の有無による暖冷房性能比較

タイトル 蓄熱水槽を2つ有するヒートポンプシステムの地下水熱源の有無による暖冷房性能比較
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2014~2016
研究担当者 奥島里美
石井雅久
森山英樹
ディビッドR.ミアーズ
佐瀬勘紀
髙倉直
古野伸典
発行年度 2016
要約 冷房用と暖房用の水槽2つを有するヒートポンプシステムの熱収支モデルにより、地下熱源の有無、地域の気候条件等に応じて、供給熱量や温室の閉鎖可能時間を明らかにすることができる。
キーワード 地下水熱源、暖房負荷、冷房負荷、蓄熱、換気時間
背景・ねらい 日本においては2008年に燃油価格が高騰した際、温室の暖房用あるいは冷房用にヒートポンプ(以下HP)が多く導入された。さらに、HPは除湿や冷房によってCO2施用のために温室の閉鎖時間を延長できる環境制御上の優位性も有しているので、昼間は冷房し、夜間は暖房するといった状況にも対応できるHPシステムは便利である。しかし、HPシステムの暖冷房性能は、構成、場所、設定気温によって大きく変わる。ここでは、同じ日に暖冷房が可能な地下水熱源と蓄熱用の2つの水槽(暖房用の温水槽と冷房用の冷水槽)を有するHPシステムの発揮性能を定常1次元熱収支モデルにより明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 同じ日に暖房も冷房もでき、蓄熱機能を有する水熱源HPシステムは図1である。ここに示すHP能力に対し必要と考えられる蓄熱水槽容量より水槽容量を大きくしても、能力(供給熱量)の大幅な向上はない。
  2. 表1に示すように、地下水熱源があれば、どの地域でも暖房負荷とほぼ同量の熱量を供給できる。しかし、地下水熱源がない場合は、寒冷地(網走、山形)では温水槽が下限水温に達した時点で温室への熱供給はストップするので暖房機能は失われる。例えば、山形では暖房負荷180kWh/m2に対して、75kWh/m2(昼25/夜15°C設定の場合)しか供給されない。一方、東京のような温暖な気象条件であれば、地下水熱源がなくても昼25/夜15°C設定暖房運転は可能である。
  3. 夜間冷房設定気温が20°Cの場合、地下水熱源があれば、どの地点でも100%冷房負荷を供給できる。地下水熱源がない場合は、わずかの供給冷熱量しか必要としない網走でのみ、冷房負荷をほぼ供給できる。その他の3地点では冷房負荷のわずかな割合しか供給できない。特に冷房負荷の大きな鹿児島では供給割合はわずか10 %以下である(表2)。
  4. ヒートポンプは地下水熱源を確保すると、表3に示すように、昼も冷房を行う終日冷房期間における換気必要時間を短縮することができる。その結果、除湿や炭酸ガス施用を行う温室にとって有利に働く。ただし、地域の気温特性と温室内の気温設定に大きな制約を受ける。
成果の活用面・留意点
  1. ここでは、年間を通して暖房および冷房の設定気温が一定と仮定した計算を行ったが、実際には作目や生育ステージによって必要とされる設定気温は変わるため、本モデルは具体的に変化する設定気温に対応して計算できるようになっている。モデルの詳細は発表論文に掲載。
  2. 特に、地下熱源がない場合は1年を通して時々刻々変化する暖房・冷房負荷やそのバランスに最も関連する設定気温の影響を慎重に検討する必要がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2016/nire16_s01.html
カテゴリ 環境制御 シカ ヒートポンプ

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