タイトル |
凍結・解凍処理に伴う細胞構造変化を利用した青果物の迅速乾燥技術の開発 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 |
研究期間 |
2014~2016 |
研究担当者 |
安藤泰雅
前田祐佳
水谷孝一
若槻尚斗
萩原昌司
鍋谷浩志
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発行年度 |
2016 |
要約 |
ニンジン切片の乾燥前にブランチングあるいは凍結・解凍等の前処理を施すと、細胞膜の損傷および細胞壁構造の変化により乾燥速度が高まり、効率的に乾燥できる。
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キーワード |
野菜、乾燥速度、ブランチング、凍結・解凍、細胞構造
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背景・ねらい |
青果物の乾燥は保存性の向上や嗜好性の付与などを目的とした加工法の一つであり、現在でも青果物の加工法として一般的に行われている。一般に青果物は乾燥の進行に伴い、その乾燥速度が低下することが知られている。そのため、エネルギーコストの削減や生産性を向上させるために、乾燥速度の向上が求められている。そこで本研究では、乾燥の前処理としてブランチング(水浸漬による加熱処理)あるいは凍結・解凍処理を適用し、乾燥速度の向上を図るとともに、青果物の乾燥特性と細胞構造との関係を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- ニンジンの切片の60 °Cでの熱風乾燥では、-20 °Cで凍結後、解凍することにより前処理した試料(凍結・解凍試料)が、70、80あるいは100 °Cで5分間ブランチングした試料(ブランチング試料)や、前処理をしない試料(未処理)と比べて、最も含水率の低下が速い(図1)。
- この含水率変化を一次反応モデル(図1)に近似することで乾燥速度を算出すると、乾燥速度定数の値は凍結・解凍試料、ブランチング試料、未処理の順に大きく、ブランチング試料では処理温度が高いほど、乾燥速度定数が大きくなる傾向が見られる(表1)。各種前処理を施すことで乾燥速度が向上するが、特に凍結・解凍処理を施すことで乾燥速度は1.4倍程度となる。
- 電気インピーダンス法による細胞膜の損傷評価では、電気インピーダンス特性(図2)より、各前処理試料における細胞膜の損傷が確認された。また、解析により求めた細胞膜の健全性指標(Re/Ri)より、細胞膜の損傷程度が大きい試料ほど乾燥速度が高くなる傾向が見られた(表1)。このことより、前処理による細胞膜構造の損傷に伴う水分の透過性の変化が青果物の乾燥速度向上に寄与していると考えられる。
- 組織構造観察では、凍結・解凍試料において細胞壁構造の破壊が観察されることから(図3)、凍結・解凍による乾燥速度の著しい向上には、凍結時に生じる氷結晶の生成による細胞壁構造の変化も関与するものと推察される。
- ブランチングや凍結・解凍等の前処理を施すことで、青果物の乾燥時間を短縮することが可能であり、青果物乾燥時における生産効率の向上に寄与できると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 凍結・解凍とブランチング処理のエネルギーコストを比較検討する必要がある。
- 凍結・解凍処理により細胞壁が破壊されるため、最終製品での品質を検証する必要がある。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nfri/2016/nfri16_s09.html
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カテゴリ |
加工
乾燥
コスト
にんじん
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