糖鎖修飾シルクにおけるヒト心筋細胞の接着と増殖

タイトル 糖鎖修飾シルクにおけるヒト心筋細胞の接着と増殖
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2015~2016
研究担当者 後藤洋子
山崎俊正
伊勢裕彦
発行年度 2016
要約 N-アセチルグルコサミン糖鎖を化学修飾したシルクを足場材料に用いて培養されるヒト心筋細胞は、接着時及び増殖時とも糖鎖修飾による細胞数の増加が認められる。
キーワード シルク、糖鎖、心筋細胞
背景・ねらい 再生医療や創薬を支える基盤技術として細胞を培養し維持するための場である足場材料の開発は重要であり、蚕が生産するシルクフィブロイン(SF)の新用途としても注目されている。一方、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)糖鎖は心筋細胞などの間葉系細胞の接着に関わっていることから、SF由来の新規足場材料としてGlcNAc糖鎖を合成化学的手法によって修飾導入したSFの作出を行っている。本研究では、GlcNAc糖鎖修飾SF及び未修飾SFを足場に用いてヒト心筋細胞の培養を行い、接着時及び増殖時の細胞数と細胞形態の比較からSFへの糖鎖導入効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. GlcNAc糖鎖修飾SFとして、架橋剤を介してGlcNAcの二糖N,N'-ジアセチルキトビオース(GlcNAc2)をアミノ酸残基に化学結合させたSF(SF-GlcNAc2)(図1)を用いる。
  2. SF-GlcNAc2及びSFを吸着コートした96ウエル組織培養用マイクロプレート上にヒト心筋細胞(HCM)(1×104 cells/well)を播種し、2時間培養後の各ウエルにおける接着細胞数をWST-8アッセイによって評価すると、HCMはSF-GlcNAc2コートウエルにおいてSFコートウエルより1.8倍高い値を示す(図2)。また、培養2時間後のHCMの形態を顕微鏡観察すると、SFコートウエルでは球状形態のみを示すのに対し、SF-GlcNAc2コートウエルにおいては球状と伸展の両方の形態を示す(図3)。これらの結果は、GlcNAc糖鎖の導入によってSFに対するHCMの接着性が増加することを示している。
  3. SF-GlcNAc2及びSFをコートした96ウエルマイクロプレートにHCM(3×103 cells/well)を播種し、3日間培養後各ウエルで増殖した細胞数をWST-8アッセイによって評価すると、HCMはSF-GlcNAc2コートウエルでSFコートウエルの1.3倍高い値を示す(図4)。なお、培養3日後のHCMはいずれのウエルにおいても伸展形態を示す。細胞接着後の細胞分裂・増殖が進んだ時点におけるSF-GlcNAc2コートウエルとSFコートウエルの細胞数の差が減少していることから、糖鎖導入による直接的なHCMの増殖促進は認められないと推定される。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は薬物の心毒性評価に用いられるHCMの足場材料設計においてGlcNAc糖鎖の導入が接着性向上に有効であることを示す事例である。
  2. 本成果からSFにおいてHCMの接着は抑制されるが、一方でHCMの増殖スピードは低下しないことが示されている。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2016/nias16_s16.html
カテゴリ 播種

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