タイトル |
業務・加工利用向け水稲品種「やまだわら」多収栽培マニュアル |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター |
研究期間 |
2014~2017 |
研究担当者 |
小林英和
長田健二
荒井裕見子
鈴木啓太郎
小林伸哉
荻原均
田村克徳
竹内善信
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発行年度 |
2017 |
要約 |
業務・加工利用に適した水稲品種「やまだわら」の多収栽培についてわかりやすく解説したマニュアルである。栽培技術に加えて、炊飯米の用途別適性などについても解説しており、業務・加工用米の導入を検討している生産者や実需者が幅広く活用できる。
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キーワード |
イネ、マニュアル、栽培技術、業務・加工用、多収
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背景・ねらい |
近年、「食の外部化」の進行にともなう中食・外食での米消費の拡大に応じて、これら事業者向けの米(業務・加工用米)の需要が増加している。しかし、その需要に生産が追いついておらず、業務・加工用米の生産拡大が求められている。業務・加工用米においては、一定の品質を維持したうえで低価格であることが必要であり、これらを両立した品種および栽培技術の確立が急務となっている。 そこで、生産コスト低減に効果の高い多収性を有するとともに、主食用品種「日本晴」並の米飯食味を有する「やまだわら」について、整粒歩合60%(玄米等級2等)・精玄米重720kg/10a以上を実現する多収栽培技術を確立し、その内容を「業務・加工利用向け水稲品種「やまだわら」多収栽培マニュアル」として生産者等にわかりやすく提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 本マニュアル(図1)は、西日本農業研究センター、次世代作物開発研究センター、九州沖縄農業研究センターの試験場内および現地で実施した栽培試験などのデータにもとづいて、業務・加工利用向け水稲品種「やまだわら」の多収栽培技術や生育の特徴をとりまとめるとともに、生産された米の特性について解説したものである。
- 栽培技術としては、「やまだわら」の能力を発揮させるための適切な施肥体系や栽植密度などを掲載している。「やまだわら」の多収栽培においては、総窒素施肥量を12kg/10a程度とし、穂肥を一般主食用品種よりも早めの出穂25日前を目安に施用すること、減収や千粒重低下を避けるため、栽植密度を15株/m2(50株/坪)以上とすることなどが重要となる。これらの技術を用いることにより、一般主食用品種よりも120kg/10a以上高い精玄米重を整粒歩合60%以上の外観品質で達成でき(図2)、岡山県瀬戸内市で2017年に実施した現地試験では、全刈り収量730kg/10a(整粒歩合60.4%、サタケ穀粒判別器RGQI10Bで測定)が得られている(圃場面積30a)。
- 「やまだわら」は、穂肥前は葉色が淡い(図3)が収量には問題とならない、登熟期間が一般主食用品種よりも10日ほど長いなどの特徴を有しており、適切な栽培管理のためには、これらの特徴を把握しておくことが重要となる。
- 米の特性に関しては、玄米や白米の品質・成分データに加えて、炊飯米の物性測定結果にもとづく用途別適性(図4)などを掲載しており、生産者や普及指導機関だけでなく、流通・卸売業者や中食・外食事業者も本マニュアルを活用できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:業務・加工用米の導入に関心のある生産者、普及指導機関、流通・卸売業者、中食・外食事業者。
- 普及予定地域・普及予定面積等:関東・北陸以西の温暖地・暖地、平成30年度の普及予定面積約300ha、マニュアル発行部数3,000部。
- その他:マニュアル冊子体はJA全農、普及センター等に配布。また、マニュアルは農研機構のホームページから入手できる。
- 「やまだわら」はトリケトン系4-HPPD阻害型除草成分(ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、メソトリオン)に対する感受性が強いため、これらの成分を含む除草剤は使用できない。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result010/2017/17_011.html
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カテゴリ |
病害虫
加工
コスト
栽培技術
除草
除草剤
水稲
生産拡大
施肥
多収栽培技術
多収性
品種
良食味
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