宮城県におけるカキ浮遊幼生の発生状況と稚貝の付着状況

タイトル 宮城県におけるカキ浮遊幼生の発生状況と稚貝の付着状況
担当機関 宮城県水産技術総合センター
研究期間 2014~2020
研究担当者 伊藤 博
発行年度 2017
要約 2005~2016年にかけて石巻湾で行ったカキの浮遊幼生調査および付着稚貝調査結果を取り纏めた。震災前と比べて震災後は、幼生の出現数は少なく、出現期間も短く、特に大型幼生の出現数は著しく少なかった。また、震災前と比べて震災後の稚貝の付着日数は短く、付着数も少なかった。震災後のカキ生産量は震災前と比べて減少しており、母貝の減少が幼生の発生、稚貝の付着に影響していると考えられた。
背景・ねらい 宮城県は東日本大震災前、国内販売量の約80%を占める最大の種ガキ生産県であった。宮城県水産技術総合センターでは、震災以前から種ガキ採苗の時期に浮遊幼生調査や付着稚貝調査を行ってきた。本報告では、石巻湾における震災前後12年間の調査結果を取り纏めた。
成果の内容・特徴
 浮遊幼生調査は2005~2016年の6~9月に週1~2回、石巻湾の10測点で行った。幼生はサイズで区分し、250μm以上のものを大型幼生として計数し、全点の平均値を算出した。付着稚貝調査は2005~2016年に石巻市佐須浜で行った。ホタテ原盤10枚を用いた試験連を垂下し、付着数を計数した。

 震災前の石巻湾では、全幼生数が1,000個体/100Lを超えたのは年間2~10回で、年毎の最大値は2,398~10,733個体/100Lであった。大型幼生数は、2010年を除いて年間1~2回100個体/100Lを超え、年毎の最大値は、2010年を除いて110~413個体/100Lの範囲であった。震災以降は、全幼生数が1,000個体/100Lを超えたのは2013、2016年を除いて年間0~2回に留まった。年毎の最大値は610~1,665個体/100Lで、震災前と比べて明らかに少なかった。大型幼生数は、2015年を除いて100個体/100Lを超えることはなく、年毎の最大値は、2015年を除いて15~75個体/100Lの範囲であった。以上より、震災前と比べて震災後は、幼生の出現数は少なく、出現期間も短く、特に大型幼生の出現数は著しく少なかった。石巻市佐須浜では、震災前は稚貝の付着数が100個/日を超えた日は年間6~17日で推移し、年毎の付着数の最大値は248~849個/日であった。震災後は、2011年を除いて付着数が100個/日を超えた日は年間0~8日で、最大値は97~192個/日と震災前と比べて付着日数は短く、付着数も少なかった。なお、図1、2には2009年(震災前)と2014年(震災後)の浮遊幼生の発生状況と付着稚貝数の推移を示した。

 震災前の石巻湾と松島湾における養殖カキの生産量(殻付き換算)は2005~2009年の平均で29,457トンであったが、震災後、2015年は13,656トンで、震災前の46.4%に留まっている(図3)。このことから母貝の減少が幼生の発生、稚貝の付着に影響していると考えられた。
成果の活用面・留意点 上記の結果より、母貝の減少が幼生の発生、稚貝の付着に影響していると考えられ、今後も浮遊幼生調査や付着稚貝調査を継続し、適切な採苗のタイミングを測る必要がある。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7117&YEAR=2017
カテゴリ かき

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