タイトル |
調製作業を高能率化する作業精度の高いホウレンソウ調製機 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター |
研究期間 |
2015~2017 |
研究担当者 |
小林有一
中山夏希
坪田将吾
グェン・ティ・タン・ロアン
大森弘美
山本聡史
紺屋朋子
千葉大基
山口正人
仲谷章一
谷口優太
大門龍太郎
本間功
澁谷透
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発行年度 |
2017 |
要約 |
ホウレンソウを1株ずつコンベア上に静置するだけで、根切り及び子葉、下葉を精度良く除去できる調製機械である。現行機に比較して作業精度が良く、仕上げ作業にかかる時間を削減できる。1台あたり2人での作業が可能で、調製作業を省力化できる。
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キーワード |
ホウレンソウ、調製機械、根切り、子葉除去、下葉除去
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背景・ねらい |
軟弱な葉菜類では一般に、面積あたり労働時間に占める、調製、出荷作業の割合が高く、生産者の労働負担が大きいため、規模拡大の妨げとなっている。ホウレンソウの調製作業では、出荷基準に合わせ、根切り及び子葉、下葉の除去等を行っており、調製、出荷作業が全作業時間の6割近くを占める現状がある。ホウレンソウを1株ずつ供給すると、根切り及び子葉、下葉除去を行う機械があるが、作業精度が低く、追加の手直し作業が多く発生している。そこで、本研究では、現行機(NC300、K社製)と比べて作業精度が高く、手直しによる調製時間を削減できる高能率調製機を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本開発機(L2830×W880×H1060mm、117kg、100V240W)は、供給部、調製部、搬出部で構成される(図1)。供給部(図2)の株元ベルトは供給ベルト接近方向に約1°傾いており、供給者がベルト上にホウレンソウを1株ずつ静置すると、株元ガイドに軽く押しあてられ、切断位置が固定される。調製部では、供給ベルトと供給ベルト上方の株押さえベルトで株を把持して、回転刃を使用した挟み切り方式の切断機構、横・縦ブラシ及び開発機で新たに採用した高速回転ブレード(図3)を株が順に通過することで調製される。横・縦ブラシ及び高速回転ブレードの回転軸は株に対し垂直で、上下の回転羽は葉側から株元側に作用する方向に回転し、泥の除去、子葉、下葉の掻き出し、除去を行う。調製されたホウレンソウは、搬出部で仕上げ者に届ける構造であり、ベルト表面にはサイズ分けの目安となる目盛りが表示してある。
- 開発機の性能について表1に示す。現行機では、長過ぎる根や斜め切りが散見され、はさみを持って再調製作業をすることがあったが、開発機では根切り精度が向上したため、再調製の頻度が大幅に減少する。また除去すべき、子葉、下葉除去率が向上したことで取り残しの除去などの仕上げの手間が減少する。
- 現行機では供給と仕上げを合わせて4人作業が前提であったが、開発機では、供給1人と仕上げ1人(計2人)でも連続した調製作業が可能である。作業能率(表1)は現行機(供給1人、仕上げ3人、約570株/人・h)に対し、開発機(供給1人、仕上げ1人)で最大約1.5倍(約900株/人・h)である。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:ホウレンソウ生産者、ホウレンソウ集出荷施設事業者等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の雨よけ栽培でのホウレンソウ産地・200台/5年間。平成30年度に実用化の見込み。
- その他:調製作業が対象可能なホウレンソウは、主に雨よけ栽培した立性の株で、概ね、草丈20cmから45cmまでの株である。虫食い、病斑、変色、軸折れ、混入異物等の除去は手作業での仕上げで行う。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result080/2017/17_019.html
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カテゴリ |
規模拡大
出荷調整
省力化
ほうれんそう
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