いもち病に強く耐倒伏性に優れる良食味水稲糯品種「ときめきもち」

タイトル いもち病に強く耐倒伏性に優れる良食味水稲糯品種「ときめきもち」
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2004~2018
研究担当者 太田久稔
横上晴郁
津田直人
藤村健太郎
山口誠之
福嶌陽
梶亮太
中込弘二
片岡知守
遠藤貴司
田村泰章
発行年度 2018
要約 「ときめきもち」は、東北地域中部では"中生"に属する糯種である。いもち病圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちともに"強"である。耐倒伏性は強く、精玄米重は「きぬのはだ」並である。搗き餅の食味は良好で、餅硬化速度は「ヒメノモチ」より遅い。
キーワード イネ、糯、いもち病抵抗性、耐倒伏性、良食味
背景・ねらい 米の消費量が減少する中で、国産米への安心感等の理由から加工用糯米の需要は安定している。また、加工用糯米に取り組む産地も増加している。加工用米については契約数量を確保する必要があるため、産地からは収量を安定させるために病虫害や倒伏等に強い糯米品種が求められている。そこで、栽培特性の優れる糯品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「ときめきもち」は、2004年に良質・糯の「奥羽糯391号」を母とし、直播用・良食味の「奥羽直376号」を父として行った交配から育成された糯品種である。
  2. 育成地における出穂期、成熟期は「ヒメノモチ」より遅く「きぬのはだ」と同程度で、"中生"に属する(表1)。
  3. 稈長は標肥栽培で62cm、多肥栽培で72cm程度と短く、耐倒伏性は"強"である(表1)。普及地域である秋田県南秋田郡大潟村では、明らかに「きぬのはだ」より倒伏が少ない(図1)。
  4. いもち病真性抵抗性遺伝子型は"PiaPiiPik(Pik-h)"と推定される。いもち病圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちともに"強"である。障害型耐冷性は"やや強"である。穂発芽性は"中"である。
  5. 精玄米重は「きぬのはだ」と同程度である(表1)。玄米外観品質は「きぬのはだ」と同程度である(表1)。2013年の大潟村での精玄米重は67.1kg/aで「きぬのはだ」58.8kg/aより多収である。
  6. 搗き餅は「のび」、「味」に優れ、「ヒメノモチ」より優る良食味である(表2)。
  7. 餅硬化速度は「ヒメノモチ」より遅い(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:水稲生産者、水稲生産法人等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北中部以南。「ときめきもち」はJA大潟村との共同研究の成果である。大潟村では「きぬのはだ」に替えて作付けされ、加工用(切り餅等)に利用されている。倒伏しにくく、いもち病に強いため、直播栽培による低コスト栽培を行う生産者にも普及することが期待される。2015年に秋田県の産地品種銘柄に設定され、2017年に約500ha作付けされている。種子の許諾先は5件(秋田県、新潟県、福井県、茨城県、埼玉県)あり、各地で普及している。
  3. その他:成果の内容・特徴は東北農業研究センター(秋田県大仙市)における成績で、区分は寒冷地中部における基準に基づく。籾のふ先色は"褐"である。いもち病真性抵抗性遺伝子のPikは系譜から「ふ系164号」由来のPik-hと推定される。種子入手先は以下。http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/tarc/symple_blog/hinsyu/018627.html
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2018/18_027.html
カテゴリ 病害虫 いもち病 加工 直播栽培 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 低コスト栽培 品種 良食味

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