小型GNSS受信機を用いた高精度測位マニュアル(ドローン用対空標識編)

タイトル 小型GNSS受信機を用いた高精度測位マニュアル(ドローン用対空標識編)
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究期間 2018~2018
研究担当者 坂本利弘
岩崎亘典
石塚直樹
デイビッド・スプレイグ
発行年度 2018
要約 小型GNSS受信機を用いて、対空標識(ドローン空撮に用いる目印)の位置を高精度に測位する手法のマニュアルである。本手法により、安価かつ誰でも簡単に対空標識の正確な位置情報を測位することができる。
キーワード ドローン、対空標識、3次元計測、位置情報、測位演算
背景・ねらい 近年、作物生育診断や栽培管理を目的としたドローン空撮画像の活用が広がりつつある。中でも、空撮画像から被写体の3次元形状を復元できる技術(SfM/MVS技術)の応用が進みつつある。これを用いると、農地面の凹凸(不陸)や作物群落の生育量を高精度に把握が可能であるが、空撮の際に設置する対空標識の正確な位置情報(緯度・経度・標高)を計測する必要がある。しかしこれまでは、高価な測量機器を利用できる限られた者にしか位置情報を計測することができなかった。そこで、GPSを含む全球測位衛星システムからの搬送波を受信することのできる安価な小型GNSS受信機を使用することで、誰でも簡単に対空標識の正確な位置情報を測位することのできる手法を説明するマニュアルを作成する。
成果の内容・特徴
  1. 本マニュアルは、1.GNSS測位の作業手順概要、2.GNSS受信機によるデータ取得、3.測位演算に必要な参照情報の入手方法、4.測位演算プログラムパッケージ「RTKLIB」の操作、5.表計算ソフトによるデータ処理、6.SfM/MVS処理ソフトウェア(Agisoft Photoscan Professional)への処理結果の入力、から構成される(図1、表1)。
  2. 小型GNSS受信機による測位結果を、SfM/MVS処理ソフトウェアに入力することにより、農地面の凹凸や作物群落の高さを精度良く把握できる。また、精緻な位置情報を有する空撮画像を作成できるため、撮影時期の異なる空撮画像を重ねて比較することが容易になる。これにより、作物生育の時間的変化の観察や、農地面の凹凸と作物の生育むらの面的比較が可能になる。
  3. 小型GNSS受信機による測位結果と、公共測量に使われる測量機器(トータルステーション)により計測された位置座標を比較したところ、小型GNSS受信機による測位結果の二乗平均平方誤差(RMSE)は、水平方向で2.1cm、垂直方向2.2cmであり、対空標識の位置情報を高い精度で測位可能である。(図2)。
  4. 初期費用として、小型GNSS受信機(1個10万円未満)のみで、運用コストは、小型GNSS受信機の設置・データ回収と解析処理に要する人件費のみである。なお、複数の小型GNSS受信機を用いることにより、より効率的な対空標識の計測が可能となる。
  5. 公共測量に使われる測量機器と違って、複数人の要員確保や高度な技術を必要としないため、小型GNSS受信機、処理のためのPCおよびと本マニュアルがあれば、誰でも簡単に、対空標識の位置情報を高精度測位可能である。
  6. 農研機構の技術マニュアル「ドローンを用いた圃場計測マニュアル(不陸(凹凸)編)http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/drone_unevenness.pdf」において必要な手順である「3.地上基準点(GCP)の測量」に活用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:公設試、普及組織、民間
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国、WebにてPDFを公開する。
  3. その他:
1)本マニュアルで使用する測位演算プログラムパッケージ「RTKLIB」は、高須知二氏(東京海洋大学産学連携研究員)が開発・公開するオープンソースプログラムである。
2)「SfM/MVS処理ソフトウェア(Agisoft Photoscan Professional)」は、アグリビジネス・建設業界でも導入が進んでいる有償ソフトウェア(約50万円)である。
3)「対空標識」とは、空撮の際に地上基準点として設置する目印であり、空撮画像を地図に重ね合わせることのできる地理空間情報に変換するために必要である。
4)「GNSS」とは「Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)」の略で、米国のGPS衛星の他に、日本の「みちびき」、欧州の「Galileo」は、各国の測位衛星システムの名称である。
5)本手法は、観測地点付近のGNSS電波受信を妨害する構造物等の有無や観測時のGNSS衛星の数と配置、電子基準点からの距離によって位置精度が変わりうるため、絶対的な精度補償を行うことはできない。また、本マニュアルは、国土地理院の定めたガイドライン・マニュアル等に準じない簡易な方法であるため、公共測量等の業務に使うことはできない。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2018/18_064.html
カテゴリ コスト 栽培技術 GPS ドローン

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