ナス用台木Solanum torvumに対するネコブセンチュウ2種の寄生性の違い

タイトル ナス用台木Solanum torvumに対するネコブセンチュウ2種の寄生性の違い
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究期間 2014~2018
研究担当者 植原健人
村田岳
上杉謙太
立石靖
岡田浩明
齊藤猛雄
中保一浩
門田康弘
谷口高大
発行年度 2018
要約 ナス接ぎ木栽培に台木として用いられるS. torvumは、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性であり、サツマイモネコブセンチュウの密度を抑制する効果があるが、アレナリアネコブセンチュウ本州型には感受性である。
キーワード ナス、サツマイモネコブセンチュウ、アレナリアネコブセンチュウ本州型、台木
背景・ねらい 線虫の防除に作物の抵抗性を利用することは、殺線虫剤の使用量を削減しつつ被害を回避できる線虫管理技術の一つである。ナス栽培種であるSolanum melongenaには、ネコブセンチュウ抵抗性の品種・系統は見出されていないが、近縁種でナス用台木として利用されるS. torvumは、ネコブセンチュウ抵抗性であるといわれている。国内には複数種のネコブセンチュウが生息しており、特にサツマイモネコブセンチュウとアレナリアネコブセンチュウ本州型の2種が、東北地方から九州地方にかけて広く分布し農業上被害が大きい重要種である。しかしながら、それぞれの種に対するS. torvumの抵抗性は明らかになっていない。そこで、ネコブセンチュウ汚染土壌での線虫密度抑制効果や、サツマイモネコブセンチュウ及びアレナリアネコブセンチュウに対する抵抗性について調査する。
成果の内容・特徴
  1. サツマイモネコブセンチュウ汚染土壌栽培にてナス栽培種S. melongenaS. torvumを比較すると、ナス栽培種S. melongenaは根こぶ症状が著しく、栽培後の線虫密度が大幅に上昇するのに対し、S. torvumは、根こぶ症状がほとんど観察されず、線虫密度も抑制される(図1、表1)。
  2. S. torvumサツマイモネコブセンチュウとアレナリアネコブセンチュウ沖縄型には抵抗性であるが、アレナリアネコブセンチュウ本州型には感受性である(表2)。
  3. 現在、国内ではS. torvumの台木用品種として「トルバム・ビガー」「トナシム」「トレロ」が市販されているが、3品種ともサツマイモネコブセンチュウには抵抗性、アレナリアネコブセンチュウ本州型には感受性である(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. S. torvumを、アレナリアネコブセンチュウ本州型汚染圃で栽培した場合、アレナリアネコブセンチュウ本州型が増殖するため注意する。
  2. アレナリアネコブセンチュウ沖縄型は、主に沖縄県に分布し、分布範囲は狭い。各種線虫種はミトコンドリアDNAのPCR-RFLP法で識別可能である。PCR-RFLP法による識別については以下を参照されたい。
植原健人(2014)PCR-RFLP法(及び種特異的プライマー)による同定法. 線虫学実験. 京都大学学術出版会、pp60-65 
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2018/carc18_s14.html
カテゴリ 病害虫 管理技術 台木 接ぎ木 抵抗性 なす 品種 防除

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