リンゴ果皮の赤色の濃さおよび着色面積の識別に有効なDNAマーカー

タイトル リンゴ果皮の赤色の濃さおよび着色面積の識別に有効なDNAマーカー
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2013~2018
研究担当者 森谷茂樹
國久美由紀
岡田和馬
清水拓
本多親子
山本俊哉
H?l?ne Muranty
Caroline Denanc?
片寄裕一
岩田洋佳
阿部和幸
発行年度 2018
要約 リンゴ果皮の赤色を担う色素であるアントシアニンの生合成を制御する遺伝子MdMYB1の近傍から設計したDNAマーカーMdo.chr9.4を用いることにより、リンゴ果皮の赤色の濃さおよび着色面積についての早期選抜ができる。
キーワード アントシアニン、転写因子、ゲノムワイド連関解析、MdMYB1、マーカー選抜
背景・ねらい リンゴ果実の外観は消費者の購買意欲を大きく左右することから、果実の商品性を決定する主要因の一つである。近年の気候変動により、品種によっては従来のような果皮着色が得られにくいことが問題となっていることから、着色に優れ外観の良い新品種が求められている。そこで、本研究では、果皮の着色についての遺伝解析を行い、赤色の濃さおよび着色面積を識別可能なDNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. リンゴ160品種・系統の1~25年分の調査記録を用いて、果皮の赤色の濃さ(果皮色強度)と着色割合(いずれも5段階評価。1品種あたり平均7.1年)について、年次変動を補正した各品種・系統ごとの遺伝子型値を求めると、両者の間には強い正の相関が観察される(表1、図1)。
  2. 果皮色強度と着色割合を乗算して総合着色程度とし、これについてゲノムワイド連関解析を行うと、総合着色程度を制御する染色体領域として、リンゴ果皮の赤色を担う色素アントシアニンの生合成経路を制御する転写因子の一種MdMYB1が座乗する第9染色体の1領域のみに有意な関連が認められる(図2)。この領域の総合着色程度の表現型分散への寄与率は52%である(データ略)。
  3. MdMYB1の8.3kb下流に存在する3塩基(ATT)単純反復配列はSSRマーカーMdo.chr9.4として利用でき、上記の品種からは、増幅長が異なる4種類の対立遺伝子(R0、Y-3、Y-9、Y-15)が検出される(表1)。対立遺伝子Mdo.chr9.4-R0をヘテロまたはホモで保有する品種・系統は果皮が赤色を呈する。
  4. Mdo.chr9.4-R0ホモ型の品種・系統はヘテロ型よりも総合着色程度の値が有意に大きく、着色能力が高いと判断されることから、Mdo.chr9.4は果皮の赤色の濃さおよび着色面積について同時に早期選抜を行うDNAマーカーとして利用できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 早期選抜の場面において、鋳型とするゲノムDNAを塩化カリウムとEDTAを含むトリス塩酸緩衝液によって粗抽出してPCRに用いても、Mdo.chr9.4の増幅は良好である。
  2. MdMYB1はType1の赤果肉形質を制御する遺伝子MdMYB10と対立遺伝子の関係にあるとされるが、本研究ではMdMYB10を保有する品種を供試していないため、MdMYB10を保有する品種にMdo.chr9.4を適用する際は本成果情報に記載されていない増幅長の対立遺伝子が現れる可能性がある。
  3. 当該形質についての既存のDNAマーカーでは、遺伝子型と果皮色との間に矛盾が生じる品種が知られていたが、Mdo.chr9.4ではこのような矛盾は認められていない。
  4. Mdo.chr9.4の検出にはDNAシーケンサーによるフラグメント解析が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/nifts18_s02.html
カテゴリ 新品種 DNAマーカー 品種 りんご

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