北東北地域の周年親子放牧実践農家における子牛の発育成績と親牛の繁殖成績

タイトル 北東北地域の周年親子放牧実践農家における子牛の発育成績と親牛の繁殖成績
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2016~2019
研究担当者 東山由美
池田堅太郎
小松篤司
深澤充
的場和弘
発行年度 2020
要約 北東北地域で周年親子放牧を実践している農家において、9ヵ月齢までの子牛の平均日増体量は、雄で1.07kg/日、雌で0.94kg/日で、冬期(12~2月)生まれの子牛と冬期以外の出生子牛との間に差はない。また親牛の平均分娩間隔は410日で2019年度の全国平均値(408日)と差はない。
キーワード 北東北、黒毛和種子牛、周年親子放牧
背景・ねらい 肉用繁殖牛農家数はこの10年間で4割も減少し、わが国の肉用牛生産は危機的な状況にある。解決策の一つに、従来の放牧をさらに省力化した周年親子放牧技術が提唱されている。周年屋外飼養することで大幅な省力化、高収益が実現でき、初期投資も抑えられ、新規就農者も取り組みやすい。一方、最大の収益源である子牛の発育や、親牛の繁殖性についての懸念からはほとんど普及していない。寒冷地域における子牛の冬季屋外飼養に対する懸念が大きい現状で、周年親子放牧の普及を図るには、実際に北東北地域で周年親子放牧を実践している農家を調査し、子牛の発育や親牛の繁殖性についてのデータを蓄積していくことの意義は大きい。そこで当研究では、北東北地域で黒毛和種の周年親子放牧を実践しているK牧場における子牛の発育状況と親牛の繁殖成績を明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴 1.放牧地の面積は約3.6haで、繁殖雌牛の飼養頭数は年間を通じて20頭前後、子牛は10頭前後であり、一群で定置放牧されているK牧場の放牧地の草種構成は、6月と11月の冠部被度の間に有意な差は見られず、いずれの時期もケンタッキーブルーグラスが優占種であり、雑草侵入の少ない安定した植生が維持されている(図1)。
2.9ヵ月齢までの子牛の平均日増体量は雄(n=9)で1.07kg/日、雌(n=15)で0.94kg/日である。冬期(12~2月)生まれの子牛に限ると雄(n=4)で1.13kg/日、雌(n=7)で0.93kg/日で、冬期以外の出生雄子牛(n=5、1.03kg/日)、雌子牛(n=8、0.96kg/日)と比べていずれも差はない(図2)。
3.親牛の分娩間隔の平均値、中央値はそれぞれ410日、384日であり、肉用牛53,260頭分を解析して得られた平均値、中央値とほぼ同等である(表1)。また、初産分娩日齢の平均値、中央値はそれぞれ769日、744日であり、2,027頭分を解析して得られた平均値、中央値とほぼ同等である。いずれも2019年度における全国平均値(分娩間隔:407.8日、初産日齢:769.5日)とも同等である。
成果の活用面・留意点 1.北東北地域における周年親子放牧の活用に繋がる。
2.本調査は、岩手県北部に位置するK牧場において2016~2018年の約2年間にわたり行ったものである。この地域の12月から2月の日平均気温は氷点下となる。
3.子牛は、生後20日前後で冬季でも屋外飼養され、6~7ヵ月齢まで離乳しない。
図表1 244513-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/tarc20_s10.html
カテゴリ 雑草 さやいんげん 省力化 肉牛 繁殖性改善 放牧技術

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる