タイトル | 高速汎用施肥播種機による子実用トウモロコシを導入した省力多収水田輪作システム |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2018~2020 |
研究担当者 |
松波寿典 宮路広武 橘保宏 内野宙 重松健太 幸田和也 中村フチ子 赤坂舞子 丹治克男 阿部佳之 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 高速汎用施肥播種機を使用する乾田直播水稲-極早生子実用トウモロコシ-ダイズの輪作に子実用トウモロコシの作付け前に家畜ふん堆肥を施用し、作付け後に緑肥を導入する省力多収水田輪作システムを開発した。本体系により乾田直播水稲600kg/10a、ダイズ250kg/10aの多収が得られる。 |
キーワード | 高速汎用施肥播種機、耕畜連携、乾田直播、子実用トウモロコシ、ダイズ |
背景・ねらい | 津波と原発事故による多難を受けた福島県浜通り地域は、除染後農地の返還が急速に進展する一方で、避難指示解除後の住民の帰還は低調であるため、担い手不足は深刻化し、水田農業や畜産業の営農再開が最も遅れている。また、除染に伴う表土剥ぎ取りや客土、長期の耕作放棄などで地力も不安定化している。したがって、浜通り地域の大規模な営農再開に向けては、少ない人数で大面積の管理が可能で、持続的な経済活動として営農できる地力維持管理と省力的な多収栽培技術を導入した耕畜連携型の水田作農業の展開が期待される。本研究では、農研機構とアグリテクノ矢崎株式会社が共同開発した高速汎用施肥播種機とプラウ耕鎮圧乾田直播栽培を核として、子実用トウモロコシを導入した省力多収型の水田輪作システムを設計し、福島県浜通り地域における実用性を評価する。 |
成果の内容・特徴 | 1.高速汎用施肥播種機による省力多収水田輪作システムは、乾田直播水稲を収穫した後に、家畜ふん堆肥を利用して子実用トウモロコシを生産し、収穫した子実用トウモロコシを飼料利用して得られる家畜ふん堆肥を再び利用することを特徴とする。また、子実用トウモロコシ収穫後に緑肥を導入することで、高生産性の基盤となる地力の維持管理をさらに強化する(図1)。 2.乾田直播水稲、子実用トウモロコシ、ダイズ、緑肥の施肥から播種までの作業体系ではブロードキャスタ、チゼルプラウ、パワーハロー、高速汎用施肥播種機を汎用利用し(図2)、乾田直播水稲では均平と鎮圧、ダイズでは作付前に緑肥の細断作業が加わる。このように、主に畑作で用いる作業機を高速で汎用利用する本体系は省力化と低コスト化を効率的に実現することができる。 3.プラウ耕鎮圧乾田直播水稲栽培、極早生子実用トウモロコシの複二条栽培、ダイズの無中耕・無培土栽培による2ヵ年の平均全刈収量は乾田直播水稲623kg/10a、子実用トウモロコシ500kg/10a、ダイズ261kg/10aとなり、本システムでは水稲とダイズが多収となる(表1)。 4.乾燥調製、生産管理時間を含まない10aあたり作業時間は乾田直播水稲4.8時間、子実用トウモロコシ2.9時間、ダイズ3.0時間となり、実証体系を用いて作付面積を10ha拡大した場合でも作業ピークの労働時間は慣行体系より少なく(図3)、総労働時間も慣行比99%となるため、規模拡大が可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:水稲、ダイズを栽培する大規模水田作経営体 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:高速汎用施肥播種機は2019年3月の市販化から2020年12月現在まで19台普及している。本成果は降雪の少ない東北太平洋側の導入効果が高く、プラウ耕鎮圧乾田直播栽培の導入地域(約1930ha)での普及が期待される。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/20_004.html |
カテゴリ | 乾燥 乾田直播 規模拡大 経営管理 市販化 省力化 水田 水稲 施肥 大豆 多収栽培技術 低コスト とうもろこし 播種 輪作 |