砂丘畑のパン用コムギ「ゆきちから」は、開花期窒素追肥により子実リン含有率が増加し、子実灰分が上がる

タイトル 砂丘畑のパン用コムギ「ゆきちから」は、開花期窒素追肥により子実リン含有率が増加し、子実灰分が上がる
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究期間 2015~2019
研究担当者 島﨑由美
渋川洋
関正裕
南雲芳文
発行年度 2020
要約 土壌中の可給態リン酸含有量が十分な砂丘畑(砂丘未熟土)で栽培したパン用コムギ「ゆきちから」は、開花期窒素追肥により子実中の無機成分のうちリン含有率が増えることが要因で子実灰分が上がる。
キーワード 「ゆきちから」、子実灰分、可給態リン酸、砂丘畑、開花期窒素追肥
背景・ねらい コムギの子実灰分は小麦粉の色と密接な関係があり、一般に子実灰分が多くなるにつれて色が悪くなる。そのため、子実灰分はコムギの品質にとって重要な要素であり、パン用小麦の品質ランク区分では基準値が1.75%以下、許容値が1.80%以下とされている。近年、新潟県でパン用コムギ「ゆきちから」の作付が増加している砂丘畑(砂丘未熟土)では子実の高灰分が問題になっており、子実灰分を制御する技術の開発が求められている。また、小麦粉の製パン適性はタンパク質含有率と密接な関係があるため、パン用コムギでは子実タンパク質含有率を高めるために開花期前後に窒素追肥を行うが、開花期窒素追肥が子実灰分に及ぼす影響について検討した例は見当たらない。そこで、本研究では砂丘畑で栽培した「ゆきちから」の子実の高灰分を解決する端緒として子実灰分と開花期窒素追肥量の関係を明らかにするとともに、子実中の無機成分量と土壌中の無機成分量の関係を調査する。
成果の内容・特徴 1.開花期窒素追肥により、子実タンパク質含有率は増加するが、子実灰分も増加する(表1)。また、子実灰分は年次や圃場によって許容値を超える値となる(表1)。
2.砂丘畑における開花期窒素追肥量の増加に伴う子実灰分の増加(表1)は、子実無機成分のうちリンの含有率が増加することに起因する(図1)。
3.開花期窒素追肥により、地上部リン含有量および穂のリン含有量は増加する(図2)。また、穂乾物増加に比べて穂のリン含有量増加が大きい(図2)ため、子実灰分が増加した(表1)と推察される。
4.試験を行った砂丘畑(砂丘未熟土)では、陽イオン交換容量(CEC)は新潟県の改良目標値5以上と比べて少なく(表2)、塩基は子実灰分の増加に寄与していない(表1、図1)。土壌の可給態リン酸含量(トルオーグリン酸)は、新潟県の改良目標値200から600 mg kg-1の範囲内にあり、適量である(表2)。
成果の活用面・留意点 1.本成果は、土壌の可給態リン酸含量が十分な砂丘畑での「ゆきちから」栽培では、子実の高灰分が問題となる可能性を指摘するものである。
2.本成果は新潟県新潟市の生産者圃場で得られたデータによる。
3.土壌分析は、コムギ収穫後に行った。砂丘畑の土壌可給態リン酸含量(トルオーグリン酸)が高かった要因として、以前作付けされていたタバコやバレイショの影響が考えられる。
図表1 244551-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2020/carc20_s01.html
カテゴリ 小麦 たばこ ばれいしょ

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