融雪水を利用した水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培

タイトル 融雪水を利用した水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2014~2017
研究担当者 白土宏之
伊藤景子
大平陽一
今須宏美
川名義明
発行年度 2021
要約 融雪水を利用した水稲の無コーティング種子代かき同時播種栽培は、一般的な播種期より1ヶ月以上早く播種可能である。播種量を多くし、被覆尿素肥料を用いて基肥量を多くすることで、一般的な播種期より出穂期が4日早くなるとともに、一般的な播種期と同程度の収量が得られる。
キーワード 代かき同時浅層土中播種、耐倒伏性品種、被覆尿素肥料、無コーティング、融雪水
背景・ねらい 水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培は種子コーティングが不要な省力・低コスト湛水直播栽培で、東北・北陸地域を中心に普及が始まっている。一方、東北地域では湛水直播の播種適期は短く、各経営体が本技術による作付面積を拡大するためには、播種能率の向上とともに播種期の拡大が必要である。そこで、播種期拡大のために融雪水を用いた代かき同時浅層土中播種栽培を行い、苗立率や収量から実現可能性を検討する。
成果の内容・特徴 1. 秋に耕起後水尻を閉じ、春に融雪水を貯めて荒代かきを行う。施肥は荒代かきと同時または直後に行い、乾燥種子を代かき同時播種する。播種後は落水管理する。
2. 秋田県大仙市で融雪水を利用して播種すると(融雪水播種)、播種日を一般的な播種時期(普通期播種)に比べて1ヶ月以上早くできる。この時期の播種では播種後平均気温は4.6~7.9°Cと好適の14°Cよりかなり低い(表1)。
3. 融雪水播種の防鳥網あり苗立率は普通期播種より低い傾向であるが、播種量を約9g m-2と普通期播種より多くすることで、同程度の苗立数が得られる(表1)。播種後の降雨により一部の種子が露出し、露出した種子が鳥害を受けやすい。土壌乾燥による苗立率の低下を回避するため、4月末から5月始めに入水する。その場合、普通期播種より葉齢が10~15日程度早く進む(図1)。
4. 融雪水播種の最高茎数は普通期播種と大きくは変わらず、出穂期は普通期播種より4日早い(表2)。
5. 融雪水播種は播種後落水期間が1ヶ月程度と長く施肥効率が普通期播種より低いと予想される。その対策として、基肥窒素は被覆尿素肥料のみとし、施肥窒素量を普通期播種より増やすことにより、耐倒伏性品種を用いた場合は、ほとんど倒伏させずに普通期播種と同程度の精玄米重と整粒歩合を確保できる。
成果の活用面・留意点 1. 3月第4半旬の最深積雪が10 cm以上ある多雪地域において得られた結果である。そのような地域で代かき同時浅層土中播種栽培の播種期間を拡大する場合に活用する。
2. 入水日から7日後までにノビエ3葉まで効果のある除草剤を処理し、その後初中期除草剤と中後期除草剤を組み合わせて合計2~3回除草剤処理をおこなった試験の結果である。
3. 播種後落水期間が約1ヶ月と長いので、落水で加害するスズメやカラスが多い圃場には向かない。鳥害の可能性がある場合は目標苗立数100本 m-2が得られない可能性があるので(表1)、播種量を9g m-2より増やした方がよい。
4. 栽培管理は「水稲無コーティング種子の代かき同時浅層土中播種栽培マニュアル(ver.6)」を参考にする。
図表1 248996-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/tarc/2021/tarc21_s01.html
カテゴリ 肥料 乾燥 経営管理 栽培技術 直播栽培 除草剤 水稲 施肥 鳥害 低コスト 播種 品種 水管理 無コーティング種子

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