タイトル | ダイズへの適期灌水を実現するための灌水支援システム |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北研 |
研究期間 | 2015~2021 |
研究担当者 |
髙橋智紀 熊谷悦史 岡田周平 中川博視 戸上和樹 高本慧 中野聡史 松尾直樹 笹原和哉 井上聡 |
発行年度 | 2021 |
要約 | ユーザーが入力する土壌情報と栽培情報、および1kmメッシュ農業気象データシステムの気象情報から、土壌の体積含水率を推定し、ダイズの乾燥ストレスを日単位で表示するシステムである。10日先の予測や過去の振り返りも可能で、灌水要否の判定支援や乾燥リスク評価に活用できる。 |
キーワード | 乾燥ストレス、ダイズ、灌水、栽培管理支援システム、意思決定支援 |
背景・ねらい | わが国のダイズ作において、乾燥ストレスは潜在的な収量低減因子である。乾燥ストレスの軽減には灌水が有効であるが、灌水のタイミングは気象条件だけでなく、栽培条件や土壌要因に左右されるため見極めが難しい。このため、実際には灌水の必要性が見過ごされた地区や年次が存在する可能性は高い。そこで本研究では適期灌水を実現するための方策として、1kmメッシュ農業気象データシステムから得られた気象情報に土壌情報、栽培情報を加え、日単位の土壌水分を簡易に推定することで、灌水適期の提示、または乾燥ストレスのリスク評価が行えるプログラムを作出し、適期灌水のための意思決定を支援する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本システムは、サーバー上で運用され、生産者等はシステムに対象圃場に関する位置情報、栽培情報、土壌情報、灌水情報等を入力する(表1)。するとシステムは1kmメッシュ農業気象データシステムを参照し、ダイズ畑の作土における土壌の体積含水率(図1中では「土壌水分」と表示)、有効水量、水ストレス指数(乾燥ストレスの指数)の推定値等を日単位で算出・表示する。また、10日先の予報値に基づく土壌水分の予測値も表示される(図1)。生産者等は、これらの結果を大豆の灌水の適期判断やリスク評価に活用することができる。 2. 本システムのアラートにしたがい畝間灌水を行った試験では、多くの年次および圃場で収量増となり(表2)、灌水による土壌病害の蔓延等は認められない。 3. 本システムは過去の暦日を設定することにより、過去の乾燥リスクを現在から振り返って計算することができる。これにより、当該地域の気象条件、土壌条件、または耕種概要における乾燥ストレスリスクを評価することが可能である(図2)。 4. 本システムはサーバー上で実行されるプログラム、またはJSON形式のテキストとして授受されるWeb APIとして提供できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 普及対象:普及指導機関、公設の農業研究機関、webサービス開発ベンダー。 2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:サービスのカバー面積として全国で5,000ha。 3. その他: 本システムの使用については農研機構本部事業開発部に問い合わせる。 4. 実際に灌水を行う際は各地域の慣行的な水利権の取り扱いに留意する。 5. システムの詳細を説明したSOP「ダイズへの適期灌水を実現するための『灌水支援システム』作業手順書」を準備中である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/tarc/2021/21_004.html |
カテゴリ | 乾燥 栽培技術 栽培条件 大豆 |