タマネギ直播栽培において溝底播種とリン酸直下施肥が畝立てと同時に行える作業機

タイトル タマネギ直播栽培において溝底播種とリン酸直下施肥が畝立てと同時に行える作業機
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九沖研
研究期間 2014~2021
研究担当者 松尾健太郎
臼木一英
室崇人
山崎篤
山本岳彦
東野裕広
末貞辰朗
宮嵜航
八木田靖司
横田祐未
石井詩歩
落合将暉
鎌田えりか
石井孝典
発行年度 2021
要約 本作業機は、耕うん、畝立て、畝の上に溝を成型、溝底に施肥、播種および施薬を1工程で行うことが可能で、出芽や生育を促進することができる溝底播種技術とリン酸直下施肥技術を畝立て栽培下で同時に活用することができる。
キーワード タマネギ、直播栽培、リン酸直下施肥、溝底播種
背景・ねらい タマネギの移植栽培体系では、育苗期間が長く、本圃の栽植密度も24,000本/10a程度と多い。このために、多くの労働時間と資材が必要で、生産費を高くする要因になっている。直播栽培は、育苗・移植作業が不要で労働時間や生産費を削減できるが、天候の影響を受けやすく生産が不安定である。出芽や生育を良くする技術として溝の底に播種する溝底播種技術、タマネギの生育を促進する技術としてリン酸を種子の直下に施肥するリン酸直下施肥技術が開発されてきた。しかし、畝立て栽培下でこれらの技術を利用することが難しかった。そこで、直播栽培による安定生産と作業時間の削減を目指して、溝底播種とリン酸直下施肥を畝立てと同時に1工程で行える作業機を開発する。
成果の内容・特徴 1. 本作業機は、アップカットロータリ、畝及び溝成型機、施肥機、ベルト式播種機、施薬機で構成される。(図1)。畝表面の土を細かくして畝を成型すると同時に畝の上に小さな溝を4本成型し、その溝底に直下施肥および播種を行い、さらに農薬(粒状)散布を行うことができる。これにより、溝底播種技術とリン酸直下施肥技術を畝立て栽培下で同時に活用することができる。
2. 成型される畝形状は、幅が1500mm、高さが200mmもしくは250mmである。溝幅は100mm、溝深さは50mm程度である(図2)。1畝4条で、条間は200mmもしくは240mmに調節できる。また、施肥深さは80mmの一定で、圃場条件に合わせて、肥料の覆土厚と種子の覆土厚が調節でき、播種深さは、肥料に種子が接しないようにする。
3. トラクタの適応馬力は28PS以上である。圃場条件の良い場合で、作業速度は1.0km/h程度が上限であり、機械の調整や旋回を考慮すると面積当たりの作業時間は、1.5時間/10a程度になる。
4. 畝の上に溝底播種をすること(以後、溝畝播種)によって湿害を防止し、平畝に播種する場合と比べて、種子周辺の土壌水分が高く維持され、地温が日中は低く夜間は高くなり(データ略)、出芽と生育が促進される(図3)。ただし、播種直後に降雨がある場合は、出芽の促進効果は明らかではなく、さらに豪雨では、溝が埋まり出芽率が低くなる場合がある。溝畝播種と過リン酸石灰を直下施肥することによって、発芽直後からリン酸を効率良く吸収でき、生育が促進され、収量が増加する(図3、表1)。
5. 移植栽培と比較して、育苗に関係する作業や施設などが不要になり、作業時間と固定費がそれぞれ3割程度削減できると試算される。
成果の活用面・留意点 1. 普及対象:タマネギ生産者、普及指導機関。
2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北以南(適地は黒ボク土壌畑)・500ha・100台。
3. その他:本作業機は、(株)クボタから2021年7月に発売が開始され、メーカー希望小売価格は税込158万円~179万円(2021年11月調べ)である。溝底播種技術の内容は、https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/tarc/1993/tohoku93-021.html、リン酸直下施肥技術の内容は、https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/new_tech_cultivar/pdf/2018kobetuseika/2018_11.pdfを参照。タマネギの直播栽培に関しては、JA全農から2021年度発行の「タマネギの秋まき直播栽培マニュアル(令和3年度版)」を参照。
図表1 249031-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/karc/2021/21_007.html
カテゴリ 肥料 育苗 栽培体系 直播栽培 湿害 施肥 たまねぎ 農薬 播種

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