ナスのとげなし性を判別するDNAマーカー

タイトル ナスのとげなし性を判別するDNAマーカー
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究期間 2011~2020
研究担当者 宮武宏治
齊藤猛雄
布目司
山口博隆
根来里美
大山暁男
呉健忠
片寄裕一
福岡浩之
発行年度 2021
要約 ナス品種「とげなし千両二号」が有するとげなし性は、第6染色体の遺伝子座Plによって制御される。遺伝子座Plに連鎖するIndelマーカーによって、とげのある個体ととげのない個体を容易に判別できる。
キーワード ナス、育種、DNAマーカー、とげなし、Indel
背景・ねらい 国内のナス品種の多くは茎葉やがくに鋭いとげがあり、整枝、誘引、収穫等、種々の作業の妨げとなっている。また、輸送中に果皮を傷つけ、商品価値を低下させるリスクともなる。こうした問題に対して、民間種苗会社や公立研究機関から、とげのないナス品種が開発され、一般的な特性となりつつある。そこで、本研究では、市販品種「とげなし千両二号」(タキイ種苗株式会社)が有するとげなし性遺伝子座を詳細にマッピングし、育種過程で効率的にとげなし個体を選抜するDNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴 1. ナス品種「とげなし千両二号」が有するとげなし性は、第6染色体に座乗する主働遺伝子座Pl(Prickle)によって制御される劣性形質である。これはナスのとげなし性遺伝子座に関する世界初の知見である。
2. 「とげなし千両二号」と、とげのあるナス系統LS1934を両親とするF2集団および、その自殖後代集団を用いた原因遺伝子座の絞り込みから、とげなしの原因となる候補遺伝子の座乗位置を133kbの物理地図上に絞り込んだ。この領域の「とげなし千両二号」由来のアリルには0.5kbの欠失変異が存在する(図1)。
3. この変異領域を挟む1組のIndelマーカーにより、「とげなし千両二号」ホモ接合型を選抜することで、とげのない個体をアガロースゲル電気泳動等の簡易な方法で容易に判別できる(図2)。プライマー配列は以下の通りである。
4. pl_indel_0.5k(fwd;5'-CGTTACATGCATAATAAACCTACGC-3'、rev;5'-CAAAGCCGCAGCCTACTG-3')
5. 本研究でPl座に見出された「とげなし千両二号」型の欠失変異は、とげのない品種・系統に特徴的であり、世界のナスを代表する100点のコアコレクション(https://www.gene.affrc.go.jp/databases-core_collections_ep.php)のうち、とげのない12点全てに同様の欠失変異がホモ接合型で見られる。
成果の活用面・留意点 1. 「とげなし千両二号」が有するとげなし性は、単因子劣性の遺伝様式に従うことから、とげなし性F1品種を開発する場合、両親に「とげなし千両二号」由来のPl座のアリルをホモ接合型で導入する必要がある。
2. 開発した選抜マーカー近傍のゲノム配列については、下記の発表論文および既報の既報のナス概要配列(https://www.nature.com/articles/s41438-020-00391-0)から取得可能である。これを利用し、任意の両親間で目的領域に新規DNAマーカーを開発することが可能である。
図表1 249065-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nivfs/2021/nivfs21_s02.html
カテゴリ 育種 DNAマーカー なす 品種 輸送

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