タイトル | オオムギ赤色粒の色素プロフェロロサミンの検出と簡易判別法 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター |
研究期間 | 2016~2021 |
研究担当者 |
阿部大吾 川口章 齋藤武 富岡啓介 神山紀子 高橋飛鳥 野見山孝司 石川直幸 吉岡藤治 野方洋一 |
発行年度 | 2021 |
要約 | オオムギ赤色粒はErwinia persicinaによる感染症である。本菌が赤色色素のプロフェロロサミンを産生し、穀粒は赤色を帯びた異常粒となる。プロフェロロサミンが鉄イオンと反応し濃赤色となることを利用して、外観では判別困難な赤色粒も簡易に判別できる。 |
キーワード | オオムギ赤色粒、Erwinia persicina、プロフェロロサミン、簡易判別 |
背景・ねらい | 近年、日本各地の大麦収穫物にピンク色~赤色の異常粒(赤色粒)が散見され、外観品質の低下を招く本現象の原因究明が生産者・実需者から強く求められている。本研究ではその原因を明らかにするとともに、赤色粒に特異的な色素を質量分析により同定する手法、ならびに、赤カビ病感染粒や生育不良によるアントシアン粒などの外観異常粒との判別を可能とする赤色粒の簡易判別法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 大麦収穫物に散見される赤色粒(図1)から赤色色素を抽出し、強酸性陽イオン交換樹脂を用いて分画した色素抽出物を飛行時間型質量分析装置を用いて質量分析を行うと、赤色色素プロフェロロサミンのマススペクトルが得られる(図2)。 2. 赤色粒をポテトデキストロース寒天培地(PDA培地)で培養すると赤色色素を産生する細菌が分離される(図3)。分離された細菌の16S rDNA配列より、細菌はErwinia persicinaであると同定される。 3. 外観での感染判断が難しい大麦粒を表面殺菌後、赤カビ病菌等の増殖を抑制する抗真菌剤及び色素と反応し濃赤色に変化させる硫酸鉄を含むPDA培地を分注した48ウェルプレートに静置し、23°Cで3日間インキュベートすることで、感染粒のウェルではプロフェロロサミンが培地中に蓄積し赤色に染まることで、オオムギ赤色粒であることを判別することが可能である(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本細菌や色素が健康を害するという報告はない。 2. 本症状はオオムギ赤色粒(英名:Pink seed of barley)として新たに病名登録されている。 3. 流通している大麦商品の多くは、色彩選別機などにより赤色粒が除去されている。 4. 本色素は加熱により退色する。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/warc/2021/warc21_s08.html |
カテゴリ | 大麦 |