タイトル | 質量分析による繭および絹の品種と品質を判別する方法 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 基盤技術研究本部 |
研究期間 | 2019~2021 |
研究担当者 |
梶原英之 村上理都子 中島健一 小瀬川英一 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 質量分析(MALDI biotyping法)を利用し、ギ酸処理によって得られるペプチド断片のマッチング解析を行うことにより迅速に繭および絹の特性を判別する手法である。ごく微量の繭や絹でも高効率に分析でき、由来する品種および品質を明らかにすることができる。 |
キーワード | 質量分析、MALDI biotyping法、絹、品種、品質 |
背景・ねらい | カイコではこれまでに多くの特徴ある品種が作られている。しかし、絹になってしまうとDNA解析が困難で品種判別ができないという問題がある。産地や品種を詐称していると思われるものも多く、国産特定品種であることを科学的に裏付けることはできていない。繭および絹の品種を短時間で判別する方法の開発が求められている。 そこで、本研究では絹タンパク質をギ酸で処理することにより断片化したペプチドの品種特異的な差異を質量分析(MALDI biotyping法)によって明らかにする。その結果、繭や絹の品種、さらに品質を迅速に判別することが可能となる。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本手法は、繭あるいは絹のギ酸による前処理、MALDI法と質量分析の一種である飛行時間型質量分析(TOF-MS)を組み合わせた MALDI-TOF MSによる分析、データマッチング解析によって構成される(図1)。本手法では、酸により絹タンパク質の一部が部分分解されることを利用する。試料の酸分解ペプチドの質量スペクトルと各品種の標準質量スペクトルとのマッチング解析を行うことにより品質判別を行う(図2)。 2. 本手法は1mg以下の微量試料からでも分析可能なので、量的に限られた貴重な試料の分析もできる。 3. 試料をギ酸処理し、絹タンパク質に由来する酸分解ペプチドを質量分析で検出するまでの全所要時間は5-10分と短時間である。これまでできなかった繭や絹の品種および品質の判別を短時間で行うことが可能となる。 4. 得られたピークを解析することによって、酸化等に起因するピークシフトを見出すことができる(図3)。これにより、絹の品質の分析も可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 繭や絹の品種判別を可能とすることにより、詐称の防止、国産品の付加価値向上に寄与する。 2. 微量試料でも分析可能なので、貴重な歴史的試料なども分析可能となる。 3. 今後、本法の一般化のため、各品種の標準質量スペクトルの拡充とデータベースの公開が必要である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/kiban/2021/naac21_s02.html |
カテゴリ | カイコ データベース 品種 |