a.地域の条件を活かした水田・畑輪作を主体とする農業経営の発展方式の解明

課題名 a.地域の条件を活かした水田・畑輪作を主体とする農業経営の発展方式の解明
課題番号 2008010567
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,北海道農業経営研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,東北地域活性化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,農業経営研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,地域営農・流通システム研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,異業種連携研究チーム
協力分担関係 北海道大学大学院
(社)北海道地域農業研究所
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 地域農業構造変動予測手法の開発に向けて、1)農業者の行動仮説(自然撤退型、米価依存型、担い手型)を前提とした行動予測モデルを利用して、個々の農業経営の行動予測結果を積み上げることで地域全体の構造変動を予測するプロトタイプモデルを構築するとともに、将来の経済条件の影響予測などモデルの活用方法を提示した。2)ロジットモデル(就業選択関数)分析により、農家の中核的労働力の就業選択行動は、農業経営規模(経営面積、資本装備率)と農外労働市場の賃金率、農家世帯員の構成等によって説明できることを示した。 大規模水田作・畑作経営の戦略的経営方式の解明に向けて、1)水田・畑作経営安定対策が北海道畑作経営に及ぼす影響を解析し、個々の経営レベルで経営所得の増加を図るには規模拡大とともに野菜等利益率の高い品目の導入が必要であること、北海道畑地型酪農経営におけるとうもろこしサイレージ多給技術の導入について、中規模経営の所得は配合飼料価格が48.0円/kg以上で慣行を上回る等の経営的効果を明らかにした。2)東北地域の大豆新品種販売戦略を策定するための評価手法として、利用者が分かりやすく、統計的検定が可能なロジスティック回帰モデルを使った手法を開発した。さらに、関東大規模水田作経営の戦略的経営方式として、水稲、小麦、大麦、大豆の4作物について、不耕起栽培などの栽培方法やそれらの作付順序を組み合わせた水田作経営モデルを作成した。 土地利用型農業への農外企業の参入条件の解明に向けて、1)東北地域における建設業の農業参入事例から、工閑期の労働力利用などシナジー効果を高めるような事業内容の選定と経営資源の調達による高付加価値・高収益作物生産の確立が成功の条件であること、建設作業員を農業部門で雇用するには農業生産法人の設立と賃金調整が必要なことを明らかにした。 新たな法人形態の農業経営への適用可能性の解明に向けて1)四国地域中山間地における3つの農業生産法人により設立された共同出荷型LLP(有限責任事業組合)は、異なる市町村に位置する法人がそれぞれ得意品目を生産して少量多品目による製品差別化を図ること等を通し、広域連携による販売対応の仕組みとして機能するとともに、会計処理の簡素化など運営面でもLLP制度のメリットを活用していることを明らかにした。 生産・財務・販売データ情報を統合した意思決定支援システムの開発に向けて、1)19年度に開発した「農業経営意思決定支援システム」について、技術普及や経営支援に携わる組織へのマニュアル配布や、マスメディア、研修・講演等でのシステム紹介などを通して利用促進を図るとともに、利用者からの評価を参考に、分析可能な部門数の拡大や労働時間等の入力方法の簡便化などの改良を行った。 土地利用集積・調整支援手法の開発に向けて1)大規模水田作経営を対象に、ほ場条件や土地利用、借地選好等に関する実態を調査し、対象地域である静岡県磐田市では農地保有合理化法人を介した借り換えにより借地ほ場の団地化が図られており、さらに経営者が独自に交換耕作等を行うことで新技術の導入につながる団地化が実現していること、また、大規模経営の借地選好に影響を与える3要素(団地化の程度、区画サイズ、自宅からの距離)のうち、「団地化の程度」の影響が最も大きく、「区画サイズ」と「自宅からの距離」の影響はほぼ同等であることを明らかにした。 新規参入・経営継承のための経営者能力・人材育成手法等の開発に向けて、1)担い手対策として重要な集落営農について、東北地域では水稲生産の一元化によるコスト削減が課題であること、また、総兼業化地域の「全戸参加型集落営農」における合理的な管理運営方策として、マニュアル作成による代掻きやコンバイン作業等の標準化・効率化、OJTの仕組みを取り入れた責任者、大型機械作業者、補助作業者等の職能別出役体制のもとでの人材育成が有効であることを示した。2)北海道の複数戸法人のうち構成世帯以外から後継者を確保している法人は、構成員1人当たりの販売額が大きく、給与や社会保険等の整備が進んでいること、また、全国的な統計解析により、平成12年以降、若年男子の基幹的農業従事者が特に農業基盤の厚い地域で増加していることを明らかにした。3)後継者不在の家族経営における第三者への事業継承に当たっては、継承者が技術対応等を詳しく指示されることを望むタイプか、あるいは、早く任せてもらうことを好むタイプか、一方、移譲者は任すことが出来る性格かなど、継承者と移譲者双方の適性等の事前確認等が成功のポイントであること、新規参入者のグループ活動は経営管理ノウハウの蓄積を促進するなどの効果を有することを明らかにした。 多様な主体間連携による地域営農システムの解明に向けて、1)複数の集落営農法人、農業公社、複数の地元豆腐店で構成される「大豆ネットワーク」は、大豆コンバインの連携利用(作業受委託)によりコストを15~20%低減する等の経済効果を生み出すなど、集落営農法人の経営展開を促進する地域支援システムとして機能しているが、実需者(地元豆腐店)と生産者が連携を強化し大豆作の収益性向上を図るためには、大豆の直接取引が必要であることを明らかにした。 異業種連携による地域活性化方策の解明に向けて、1)大豆加工業者と生産者の直接取引を支援する「試算シート」を開発した。また、経営者特性に関するアンケート分析から、異業種連携に関わる経営者の特性としては、革新的リーダーとしての資質や管理者的資質、広い人的ネットワークを有することが重要であることを明らかにした。
カテゴリ 加工 規模拡大 経営管理 経営モデル 高付加価値 コスト 出荷調整 少量多品目 人材育成 新品種 水田 大規模経営 中山間地域 とうもろこし 乳牛 不耕起栽培 輪作

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