課題名 | e.高収益な果樹生産を可能とする高品質品種の育成と省力・安定生産技術の開発 |
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課題番号 | 2009013865 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,ナシ・クリ・核果類研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,ブドウ・カキ研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,カンキツ研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,リンゴ研究チーム |
協力分担関係 |
茨城県工業技術センター 埼玉県農業総合研究センター園芸研究所 岐阜県中山間農業研究所中津川支所 熊本県農業研究センター果樹研究所 (株)小田喜商店 樋野電機工業(有) |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2009 |
摘要 | かんきつ品種の育成に関しては、1)糖と酸のバランスや栽培性が良く、年内収穫可能なかんきつ「口之津37号」を品種登録出願候補とした。優良品種を育成するため、27組合せの交雑種子1,945粒を獲得するとともに、20年度に獲得した37組合せ780個体を高接ぎした。2)カンキツトリステザウイルス抵抗性品種を育成するため、「カンキツ中間母本農8号」と「無酸ブンタン」の交雑実生からDNAマーカー選抜により、抵抗性で果実形質に優れる4個体を選抜した。 りんご品種の育成に関しては、1)大果で甘味が多く食味が優れるりんご「もりのかがやき(リンゴ盛岡63号)」が品種登録出願公表された。また、りんごの優良品種を育成するため、全国16ヶ所の公設試験研究機関の参画を得てリンゴ第6回系統適応性・特性検定試験を開始した。2)リンゴ根頭がんしゅ病抵抗性に連鎖するDNAマーカーを取得するため、139個の新規EST-SSRマーカーを開発し、「JM7」×「サナシ63」の連鎖地図上にマッピングした。 日本なし品種の育成に関しては、1)黒星病抵抗性品種等を育成するため、2,271粒の交雑種子を獲得するとともに2,037個体の交雑実生を評価し、有望と評価された57個体を選抜した。2)なしの自家摘果性の遺伝様式を解明するため、子における自家摘果性の家系平均値は平均親値に対する回帰係数が高く、遺伝子の相加効果によって大きく支配されることを明らかにした。 核果類品種の育成に関しては、1)甘味が多く、酸味が少なく生食に適したあんず「サニーコット(アンズ筑波9号)」及びあんず「ニコニコット(アンズ筑波12号)」、並びに、有機酸含量が高く梅酒品質の優れるうめ「翠香(ウメ筑波7号)」が品種登録出願公表された。また、大果で無袋栽培が可能な黄肉の生食用もも「モモ筑波123号」を品種登録出願候補とした。2)ももの優良品種を育成するため、高糖度で、低低温要求性等を有する7系統を22年度から開始するモモ第9回系統適応性・特性検定試験の供試系統として選抜した。また、もも交雑実生集団のせん孔細菌病抵抗性を評価し、5組合せ170個体の中から強度の抵抗性を有する8個体を選抜した。 ぶどう品種の育成に関しては、1)「巨峰」よりも大粒で食味が優れ、種なし栽培が可能な赤色ぶどう「クイーンニーナ(ブドウ安芸津27号)」が品種登録出願公表された。また、大粒で食味が優れるぶどう「ブドウ安芸津25号」を品種登録出願候補とした。2)優良品種を育成するため、3,522粒の交雑種子を獲得するとともに、1,342個体の交雑実生を評価し、注目系統として46個体、母本候補として66個体を選抜した。また、22年度から開始するブドウ第13回系統適応性・特性検定試験の供試候補系統として3系統を選抜した。 かき品種の育成に関しては、1)優良品種を育成するため、交雑実生989個体を評価し、注目系統として36個体を選抜するとともに、627個体を高接ぎした。カキ第7回系統適応性・特性検定試験供試中の4系統は、花粉を95%以上遮断しても着果したことから高い単為結果性を有するものと判断された。2)日本型完全甘がき「甘秋」と日本型非完全甘がき「太天」の交雑実生群において、DNAマーカーによって判別された渋柿の分離比と遺伝様式から算出される理論値との間に統計的有意差はなかった。一方、日本型完全甘がき「富有」と中国型完全甘がき「310-24」の交雑実生群においては、DNAマーカーによる判定個体数は中国型完全甘がきでは理論値と一致したが、日本型完全甘がきでは一致せず、本マーカーでは完全には甘渋性を識別できないことを明らかにした。 くり品種の育成に関しては、1)食味良好で豊産性の日本ぐり「美玖里(くり筑波39号)」が品種登録出願公表された。渋皮剥皮性の良い優良品種を育成するため、300粒の交雑種子を獲得するとともに、708個体の交雑実生について特性調査を行い、10個体を有望と評価するとともに、そのうち渋皮剥皮性等を有する4系統を供試して、くり第7回系統適応性・特性検討試験を開始した。 省力適性形質を備えた台木の選抜及び大量増殖法の開発に関しては、1)かきのわい性優良台木を選抜するため、「富有」を穂木にした栽培試験を行い、「No.3」、「S22」、「SH11」台を用いた3年生樹の樹高は、同年生の対照樹(共台)よりも30~40%低いことを示した。また、効率的な大量増殖法の開発に向けて、夏季に台木の幼苗に接ぎ木すると、緑枝挿し木後2年で定植可能な苗木を生産できることを明らかにするとともに、組織培養では、継代培養時にシュートの茎頂を除去し水平にして培養すると発生シュート数が2.9倍に増加することを明らかにした。2)もものわい性優良台木品種を育成するため、もも台木連絡試験を継続し、6系統の特性調査を行った。3)かんきつのわい性優良台木品種を育成するため、18年度に選抜した27系統の中で多胚性である9系統のうち8系統がCTV免疫性であることを確認した。 JM台木を利用した栽培管理作業時間削減技術を確立するため、1)20年度までに開発した低樹高栽培では、通常のわい化栽培に比べて1樹当たりのせん定作業時間を50%、100花(果)そう当たりの摘花作業時間及び摘果作業時間をそれぞれ17%、13%、100果当たりの着色管理作業時間及び収穫作業時間をそれぞれ23%、28%削減できることを明らかにした。2)低樹高栽培技術開発では、下枝に骨格枝のある主幹形の既存樹を用いた場合、樹齢に関わらず1回のせん定で低樹高化することが可能であることを確認した。 |
カテゴリ | あんず うめ かき くり 黒星病 栽培技術 挿し木 せん孔細菌病 台木 高接ぎ 単為結果 接ぎ木 DNAマーカー 低温要求性 抵抗性 抵抗性品種 低樹高 日本なし 品種 ぶどう ぶんたん もも 良食味 りんご わい化 その他のかんきつ |