課題名 | d.誘導抵抗性等を活用した生物的病害抑制技術の開発 |
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課題番号 | 2009013872 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,生物的病害制御研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,生物的病害制御研究チーム |
協力分担関係 |
北海道立花・野菜技術センター 新潟県農業総合研究所 山口県農林総合技術センター ベルグアース(株) 京都府農林水産技術センター 長野県野菜花き試験場 宇都宮大学 岩手大学 (株)微生物科学研究所 茨城県農業総合研究センター |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2009 |
摘要 | 1)ウイルス病については、ゲノム情報を用いて作出したトウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)弱毒株の防除効果を茨城県のピーマン農家ほ場において現地実証試験を行い、弱毒株L3-163はPMMoVによるピーマンモザイク病に対して高い防除効果を有し、無接種株と同等の品質・収量を示すことを明らかにした。また、京都府の伏見甘長とうがらしほ場のPMMoV弱毒株接種区では、無処理区に比べてタバコマイルドグリーンモザイクウイルス(TMGMV)によるかすり状えそ症状の割合が減少し、TMGMVに対しても防除効果を有することを明らかにした。トマトウイロイドの防除資材の探索については、ピーマン葉粗汁液がトマト退緑萎縮ウイロイド(TCDVd)に対して高い感染阻害活性を示すこと、またその活性物質はたんぱく質である可能性が高いことを明らかにした。トマト黄化えそウイルス及びメロン黄化えそウイルスの弱毒株については、感染植物の低温処理により各1株の弱毒株を作出した。2)細菌病に関しては、酵母抽出液をトマト根部処理することにより、処理した根部の皮層において青枯病菌の移行・増殖が抑制されて発病が抑制されること、青枯病と同様にかいよう病の発病も抑制されることを明らかにした。また、非病原性Xanthomonas属細菌はキャベツ黒腐病以外にダイズ葉焼病、カンキツかいよう病に対しても防除効果を持ち、その処理濃度が107CFU/ml以上の場合に効果が認められた。また、開花期稲へのバクテリオファージまたは非病原性細菌の噴霧は、稲内頴褐変病に対して防除価90以上の安定した発病抑制効果を示した。3)土壌病害に対する拮抗菌の検討では、トリコデルマ属菌を混合した拮抗菌系IIの処理によってベニバナインゲン茎根腐に防除価で100に達する高い防除効果が得られることを明らかにした。ダイズ黒根腐病に対し土壌還元消毒を行った結果、有機物として麦桿を加えて湛水状態にすることで防除価で68に達する高い防除効果を示した。カラシナから生じる揮発性抗菌物質は、ホウレンソウ萎凋病菌(Fusarium菌)のみならず、ホウレンソウ株腐病菌(Rhizoctonia菌)、ホウレンソウ立枯病菌(Pythium菌)に対しても高い抗菌活性を有すること、生物的くん蒸では、密閉容器内でのカラシナや野生エンバクの土壌混和によりホウレンソウ萎凋病菌の菌密度が顕著に低下することを明らかにした。4)誘導抵抗性の活用技術では、キチンを有効成分とする低分子量キチン資材(LMC)は、トマト斑点細菌病菌に対して殺菌作用を示すことなく、宿主の抵抗性を誘導することにより本病の登録農薬であるカスミンボルドーと同等の防除効果を発揮した。キチン資材、セルラーゼ、酵母抽出液の中では、キチンがトマトでのキュウリモザイクウイルスの発病を最も安定して抑制した。5)天然抗菌物質の利用技術開発では、ごま葉枯病等の水稲種子伝染性病害に対して、甘草抽出物を用いた種子浸漬処理が防除効果を有し、浸漬処理時の水温を50℃に設定し60分浸漬、または常温にて浸種開始時から播種時まで120時間の連続浸漬を行うことにより、防除価が92程度に高まることを示した。またヒバ油製剤の120時間連続浸漬処理では、ごま葉枯病、ばか苗病とも防除価は80程度であった。 |
カテゴリ | 病害虫 青枯れ病 からしな キャベツ きゅうり 黒根腐病 立枯病 抵抗性 とうがらし トマト 農薬 播種 ピーマン 防除 ほうれんそう その他のかんきつ |